27歳で本格的な大工の修業を再スタート

インタビュアー 濱中治(野球解説者)
田村 高校を卒業した私は、やりたいことが見つけられずフリーターになりまして。同級生が社会で活躍する様子を見て、さすがに「このままではダメだ」と痛感しました。そこで1年後に就職したのが鉄工所です。最初は溶接をしていたものの、半年後には設計部門に移り、上司が作成した図面をCADで清書する業務を任されるようになりました。
濱中 偶然にしろ、今につながるお仕事を担当するようになったわけですか。
田村 そうなんです。そうして21歳のとき、大工になっていた中学時代の先輩に頼んで工務店に就職しました。ただ、その会社の業務は工場でプレカットされた建材を現場で組み立てるだけだったんです。自分で墨付け、刻みをする昔ながらの大工とはかけ離れていました。少しずつ違和感を覚えた私は再び27歳で転職を決意し、別の工務店で一から大工の修業を始めました。
濱中 その工務店さんは、本格的な大工仕事をしていたわけですね。
田村 ええ。材料の木は山から直に買い付けて自分たちで製材していましたし、住宅だけでなく寺社の建築も手がける会社だったんです。遅い再スタートで不安な気持ちもあったものの、社長でもある親方が「やる気さえあれば覚えられる」と励ましてくださり頑張ることができました。