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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統を守り新時代へ 襖紙・表具の卸売事業
株式会社奥田 代表取締役 奥田裕章

 
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インタビュアー 水野裕子(タレント)
水野 京都府京田辺市の株式会社奥田さん。御社は、創業50年以上を数える襖の卸売専門会社で、奥田社長は3代目とお聞きしています。
 
奥田 はい。弊社は父が興した会社です。私は小学生の頃から家業を継ぐと決めていて、大学卒業後に3、4年間父と仕事をしました。その後、父が亡くなり、母が2代目になりまして。その後、私が事業を継いだんです。
 
水野 お父様の思いとともに会社を引き継いだわけですね。現在、扱われている商品について教えてください。
 
奥田 襖紙をメインに、襖縁、引き手、下地、胴張、張り替えの際に使う浮紙(うけがみ)などの襖部材のほか、障子紙、屏風、掛け軸などさまざまな商品をそろえています。これらを和室の内装を手がける表具屋さんなどに卸しています。
 
水野 襖紙だけでも多くの種類がありそうですね。
 
奥田 ええ。襖紙は大別すると、糸入りと糸のない鳥の子に分かれ、それぞれグレードがあります。糸入りは糸目が細かいほど高級で、鳥の子の最上は、原料にミツマタやコウゾが使われた手すき和紙で、国宝、重要文化財には高級和紙を使用したものが使われるんです。
 
水野 国宝級から一般に使用される襖紙まで、幅広くそろうのも御社の特徴ですね。ことに、伝統的な日本建築の多い京都は、和を取り入れた家が多いという印象もあります。
 
奥田 京表具は京都のブランドですし、確かに全国でも襖紙の需要は高いですね。ただ、建築は徐々に洋風へ移行し、同業者さんもかなり減りました。そうした中、環境に優しく、日本の伝統建築様式に合う昔ながらの襖は残していきたいという思いがあります。
 
水野 奥田社長の代になって、新しい試みにもチャレンジされているとうかがいました。家業を続けたい、日本の伝統様式を守りたいという思いが強いからなのでしょうね。
 
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奥田 おっしゃる通りです。最近は、襖・表具を使った和風の内装工事やリフォームを手がけたり、表具屋さんに仕事が回るよう働きかけたりするなど、新しい仕事の仕方を模索しています。将来的には、襖紙等の伝統を守りつつ時流を意識した独創性のあるものを生み出したいと考えています。
 
水野 日本人の生活様式は様変わりした一方で、伝統文化を見直す動きもあります。その一端を担う御社の仕事は貴重ですし、固定観念にとらわれず新しい取り組みをされる奥田社長の着眼点も素晴らしいと思います。ぜひ「奥田スタイル」を貫いて頑張ってほしいです。
 
 
 
「仕事を楽しむ」とは‥
好きなものに取り組むことです。それに勝るものはありません。自分のモチベーションが上がる環境にいることが大切ですよ。
(奥田裕章)
 

:: 企業情報 ::

株式会社奥田

〒610-0331 京都府京田辺市田辺平1-20

ホームページ
http://www.fusuma-okuda.com/