
インタビュアー 水野裕子(タレント)
奥田 はい。弊社は父が興した会社です。私は小学生の頃から家業を継ぐと決めていて、大学卒業後に3、4年間父と仕事をしました。その後、父が亡くなり、母が2代目になりまして。その後、私が事業を継いだんです。
水野 お父様の思いとともに会社を引き継いだわけですね。現在、扱われている商品について教えてください。
奥田 襖紙をメインに、襖縁、引き手、下地、胴張、張り替えの際に使う浮紙(うけがみ)などの襖部材のほか、障子紙、屏風、掛け軸などさまざまな商品をそろえています。これらを和室の内装を手がける表具屋さんなどに卸しています。
水野 襖紙だけでも多くの種類がありそうですね。
奥田 ええ。襖紙は大別すると、糸入りと糸のない鳥の子に分かれ、それぞれグレードがあります。糸入りは糸目が細かいほど高級で、鳥の子の最上は、原料にミツマタやコウゾが使われた手すき和紙で、国宝、重要文化財には高級和紙を使用したものが使われるんです。
水野 国宝級から一般に使用される襖紙まで、幅広くそろうのも御社の特徴ですね。ことに、伝統的な日本建築の多い京都は、和を取り入れた家が多いという印象もあります。
奥田 京表具は京都のブランドですし、確かに全国でも襖紙の需要は高いですね。ただ、建築は徐々に洋風へ移行し、同業者さんもかなり減りました。そうした中、環境に優しく、日本の伝統建築様式に合う昔ながらの襖は残していきたいという思いがあります。
水野 奥田社長の代になって、新しい試みにもチャレンジされているとうかがいました。家業を続けたい、日本の伝統様式を守りたいという思いが強いからなのでしょうね。

水野 日本人の生活様式は様変わりした一方で、伝統文化を見直す動きもあります。その一端を担う御社の仕事は貴重ですし、固定観念にとらわれず新しい取り組みをされる奥田社長の着眼点も素晴らしいと思います。ぜひ「奥田スタイル」を貫いて頑張ってほしいです。
「仕事を楽しむ」とは‥
好きなものに取り組むことです。それに勝るものはありません。自分のモチベーションが上がる環境にいることが大切ですよ。
(奥田裕章)