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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統と最新技術の融合! 特殊工事も得意な左官屋
勇成技建 代表 中村斗茂栄

 
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インタビュアー 畑山隆則(元ボクシング世界王者)
畑山 奈良県橿原市で左官業を営む勇成技建さんにお邪魔しています。中村斗茂栄(なかむら ともはる)代表はこの仕事に就かれてもう長いのですか?
 
中村 2022年現在、キャリアは23年ほどになります。20歳で左官の世界に足を踏み入れ、25歳で独立しました。親子二代三代と左官をしている同業者が多い中、一代で奈良県一の左官屋になることが目標です。独立したての頃は、まだ技術不足なところがあったため、全国各地の親方に電話して、たくさんの方に教えを請いまして。唐突な依頼にも関わらず、快く迎え入れてくださる懐の大きな親方が多く、貴重な技術を学ぶことができました。
 
畑山 面識のない人にお願いするというのは、相当の熱意がないとなかなかできないことですよ。きっと親方たちも、情熱を持った若い職人がいることが嬉しくて、力になりたいと感じたんじゃないかと思います。向上心を持ってスキルアップされてきて、現在は主にどういった仕事を手がけておられるのでしょうか?
 
中村 奈良県を拠点に全国に向けて、商業施設から個人宅の塗り替え、蔵のような文化財まで、さまざまな現場で作業をしています。中でも力を入れているのは、漆喰仕上げと土仕上げですね。今は水で練るだけの漆喰建材があるので、それを使う業者も多いものの、私は昔ながらのやり方にこだわりを持っていまして。海藻を炊いて糊気を出し、そこに石灰とすさを混ぜて・・・という昔の職人と同じ工程を経て、真の漆喰をつくっているんですよ。
 
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畑山 便利な建材があるにも関わらず、あえて工程の多い作業をされているのは、やはり仕上がりに違いがあるからでしょうか。
 
中村 おっしゃる通りです。自分で調合することにより気候、湿度、天候などに対応することが可能でして。そして何よりも、こうした伝統技術を持った職人が少なくなってきているので、技術を継承していく役割を担いたいという思いが強いんですよ。2022年3月にオープンした「なら歴史芸術文化村」では職人育成カリキュラムの講師を務め、文化財建造物の修復に必要な技術を次の世代に伝えるお手伝いをしています。