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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

店舗用別注家具の製作に 家族や仲間と挑み続ける
株式会社泉北工芸 代表取締役 松本幸雄

 
プロフィール 高知県出身。テレビドラマの影響で家具職人にあこがれ、高校でインテリアを学ぶ。現場の過酷さを目の当たりにしたことで、卒業後は印刷会社に就職した。5年間勤めるも、家具職人への思いが捨てきれず木工所に転職する。長年職人として勤務した後、勤務先の解散に伴い業務を引き継ぐ形で2019年に起業。ベテランの職人や家族に支えられ、2021年には(株)泉北工芸として法人化も果たす。【ホームページ
 
 
 
店舗に欠かせないショーケースやレジ台、陳列棚などの家具。このような別注家具・陳列家具を製作するのが大阪府堺市の株式会社泉北工芸だ。松本幸雄代表取締役は、この道一筋約40年。勤務していた会社の解散を乗り越え、頼りになるベテラン職人や息子たちとともに立ち上がった生粋の職人だ。家具が完成した瞬間の喜びは何物にも代えがたい。そう語る松本社長に家具づくりの楽しさや未来への決意をじっくりとお聞きした。
 
 
 

テレビドラマを観てあこがれた家具職人の道

 
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インタビュアー 濱中治(野球解説者)
濱中 大阪府堺市に拠点を置く株式会社泉北工芸さんは、店舗用の陳列家具・別注家具の製作を手がけているそうですね。松本社長は、この道一筋の職人さんとお聞きしています。ぜひ、家具職人を志したきっかけから現在までの歩みを教えてください。
 
松本 私は宇津井健さんが家具職人を演じたテレビドラマを観て、そのかっこよさに憧れて「自分も同じ職業に就こう」と決意したんです。それで、高校はインテリア科に進みました。ただ、実際の現場は大量のほこりが舞い汚れもひどい環境です。一目見ただけで「これはヤバい」と感じ、卒業後は家具職人になるのをやめて印刷会社に就職したんです(笑)。
 
濱中 これは意外な展開です。松本社長のその後がとても気になりますね。
 
松本 しばらくは印刷会社に勤務していたものの、やはり、家具職人の道をあきらめきれなかった私は24歳のときに思い切って転職することにしたんです。平野区の木工所に入社し、それから40年近く職人を続けることになりました。
 
濱中 わざわざ高校で家具製作の技術を学んだのですから、別の世界に行くのはあまりにももったいないですよ。松本社長が職人になって私もホッとしました(笑)。