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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

時代と顧客の需要を掴み 子どもの和装を身近に
株式会社斉藤商店 代表取締役 齊藤誠之

 
プロフィール 愛知県出身。京都の子ども用着物や和装小物の製造・販売を手がける(株)斉藤商店の創業者を祖父に持つ。体育教師を目指すも、跡継ぎとして望まれていたこともあり、着物業界へ進むことを決意。大学卒業後、京都にある着物の染屋で修業を積んだ。コロナ禍前の2019年に、斉藤商店の3代目に就任。若さを活かし、時代の変化に対応しながら着物文化の継承に意欲を燃やす。【ホームページ
 
 
 
七五三をはじめとしたイベントやお祭りに欠かせない着物や小物。京都市で子ども用の浴衣や甚平、和装小物の製造販売を専門に手がけるのが株式会社斉藤商店だ。創業90年以上を誇る同社を率いるのは3代目の齊藤誠之代表取締役。コロナ禍でイベントが減り大きな転機を迎えた着物業界だが、世の中の流れや顧客のニーズを的確に読み取りながら、未来を切り開こうとチャレンジする齊藤社長の奮闘をじっくりとお聞きした。
 
 
 

93年の歴史を持つ子ども用着物の会社

 
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インタビュアー 濱中治(野球解説者)
濱中 京都市で子ども用着物や和装小物の製造・販売を手がける株式会社斉藤商店さんにお邪魔しています。店内に飾られたカラフルな着物や小物が目にも鮮やかです。さっそく会社や齊藤社長のプロフィールを教えていただけますか。
 
齊藤 弊社は1929年に祖父が創業し、今年2022年ですでに93年の歴史を持つ会社なんですよ。2代目の父は別の関連会社も経営していたので、私は大学を卒業するまで名古屋で暮らしました。もともと体を動かすのが好きで野球やサッカーに熱中していたこともあって、当時は体育教師を目指していたんです。ただ、両親から「斉藤商店の後継ぎに」という望みを感じ取ってこの業界へ入り、京都に来てから着物の染色会社で修業を積んだんです。
 
濱中 京都ならではの文化に驚くことも多かったのでは?
 
齊藤 ええ、京都には空気を読む文化が根付いていますよね(笑)。着物業界は特に人間関係が重要で、本音と建前を使い分けたり、相手が本当に言いたいことを読み取ったりする必要があるんです。若い頃は言葉の裏に隠された意図をつかむのも大変でした。でも、人から信用してもらえるようになると、この苦労もいい勉強になったと感じますね。