新年あけましておめでとうございます。小山です。皆さん、よい一年のスタートは切れていますでしょうか。昨年12月をもって、私のコラム連載「明るい我らに仕事あり」はひとつの区切りを迎えました。長くご愛読いただいた皆様に心から御礼申し上げます。現在、春からの新しいコラムに向けて鋭意準備中ですが、新年というタイミングでどうしてもお伝えしたいことがあり、筆をとります。テーマは「運のつかみかた」です。そう、全ての幸運は偶然の産物ではありません。では始めましょう。
運に気付くことができているか?
想像してみてください。場所は東京の新宿駅や大阪駅のような、人通りが多い駅です。あなたはふと、数メートル先に光るものが落ちているのを見つけました。よく見ると1円玉です。周囲は誰も気付かず、気付いていたとしても拾うそぶりは見せません。さて、あなたは拾いますか? それともそのままにしておきますか?
最初に断言したいのが、幸運を手にできている人には共通点があるということです。それは、小さなことを大切にする人は幸運に恵まれるというもの。1円玉は、まぎれもなく目の前に落ちている「運」そのもの。1円玉に気付かない人はそこに運が落ちていることに気付けず、「たかが1円を拾うのはみっともない」と思って素通りする人は、珍妙なプライドで運を自ら逃がしているだけなのです。
ちりも積もれば山となる。小さなことを積み重ねられない人に、大きな結果は訪れません。小さなことを積み重ねないままで大ばくちをしても、結果は目に見えています。今日できる、目の前のことをやらないで結果は出ませんし、結果を出せない人のもとに幸運は訪れません。仕事でも何でも、まずこれが開運の基本です。
運を見つけられる目を持っているか?
さて、もうひとつ想像してください。あなたは電車に乗っています。横がけのシートは全て埋まっており、あなたは誰かが立つのを待って、そこに座りたいと思っています。さて、このとき、あなたはシートの右端、左端、真ん中あたりのどこに立っていれば座りやすいでしょうか?
これも実は、運がどこにあるのか見極められていれば容易に座れるようになります。そう、運がある場所は見ていてわかるものなのです。
このケースで言えば、真ん中ですね。シートが空いていたら、人間、端から座っていくものです。そして次に真ん中が埋まっていく。ここで思案するべきです。端の人は自分が心理的に安心する場所で長時間を過ごしたいと思うからその場所を選んでいる。つまり、まだ何駅も乗っている可能性が高い。すると、乗車区間が短い人ほど真ん中に座っている率が高いと推測できます。要するに、真ん中の席ほど早い段階で空きやすく、立って待つならその近くに運があるというわけです。
「なんだ、それって単に席がとりやすくなるコツじゃないか」と思った方。正直申し上げて、その考え方ではこの先も運に見放されるでしょう。
あなたのそのコツは、自分で思案したものですか? 何かで聞いて知っていただけじゃありませんか? 自分で探そうとしない人には運は見えません。仮説を立て、実行し、検証する。それを繰り返すことではじめて、運の流れを見極められるようになります。大事なのは運がどこにいるかを見つけ出す目。その目を持っている人には、運はそこかしこにいるものですよ。
運を手につかむ準備はできているか?
運の流れがどこにあるかは、しっかりと物事を見ていけば、おのずとわかってくるものです。「運がない」「ついてない」というのは、大半は自分に原因があります。
では、なぜ運を見つけられないか。それは自分の中の基準を簡単に変えてしまっているからです。毎回違う場所から見ていたら定点観測になりませんね。それと同じこと。定まった一つの基準で物事を見ていき、それがブレないから、運が見極められるようになる。そして一流と呼ばれる人は、往々にして運を見極められる人たちでしょう。
あなたが運を味方につけたいと思ったら、一流の人たちの近くで学んでください。一流の素質を持っていたとしても、三流と付き合っていたら、いつまでたっても一流にはなれません。
相手が一流の人かどうかを見極める方法は簡単です。売上前年比の話をしているときに、「うちは対前年で90%でしたよ」と言われて「そうでしたか。それは残念でしたねぇ」というような返し方をしている人は、三流です。そういう人は心の中で「うちは95%だ。まだマシだな。よかったよかった」などと思っています。一流の人は100%超え、110%超えが当たり前ですから、「えっ!? それで大丈夫ですか? 呑気すぎませんか?」という反応をします。中には200%を超えていても「まだまだです」というすごい人もいるんですから。
また私の場合、これから自分の部下になる人間がツキを持っているかどうかを見るために、面接試験の順番を材料にします。つまり、一番に面接に来た人間はそれだけで採用と決めているのです。実際にはその人にももっともらしいことを質問しますが、あくまで形だけ。たくさんの人が一斉に応募してくる中で一番になったというのは、それだけで“持っている”証拠です。
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運は自分の持てる力を100%常に出し切る人のところに寄ってくるものです。何かまだ手に持っている状態では、新しいものはつかめませんよね。まず全部出しきる。新事業をやるにしても、思ったほど業績が上がらないものはどんどん切るべきです。一応収益を出しているのにもったいないと思う気持ちもわからなくはないですが、そこに割く時間と労力のほうがよほどもったいない。それよりは新しい活路を探すべきです。運はあなたに見つけられるのを常に待っています。運をつかんで一流のビジネスパーソンになっていただきたいと願いつつ、今回の筆をおきます。
それではまた、新シリーズでお会いしましょう!
明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.38 (番外編) 小山流開運術
執筆者プロフィール
小山昇 Noboru Koyama
株式会社武蔵野 代表取締役社長
経 歴
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。
オフィシャルホームページ
http://koyamanoboru.jp
(2016.1.6)