こんにちは、小山です。11月は紅葉が美しいシーズンですね。木々は冬に向けて準備を始めましたが、皆さんの冬の準備はいかがですか。冬は日が短く、体も心も縮こまりがちになります。気分が沈みがちになるわけです。気分が沈めば、仕事でもストレスが溜まりやすくなります。あまりストレスを溜めすぎると働くのが億劫になり、いろいろと支障が出てくる。これはいけません。そこで今回は、ストレスをコントロールする方法をお伝えしましょう。
【相談ケース71】 ストレスフルな毎日です
初めまして、小山社長。私は講演などで何度か直接小山社長のお話を聞いたことがあり、その豪快な生き方に感銘を受けております。個人としても経営者としても、見習うところが多くございます。ふと思うのですが、小山社長はストレスと無縁に見えますね。何か独自のストレス発散方法があるのでしょうか? 私は毎日何かとストレスが多いので、お聞きしてみたいのですが・・・。(45歳 経営者・男性)
お金を使うとストレスは逃げる
そこまで持ち上げられたら気持ちがいいものですね(笑)。では、ストレス発散の極意を伝授いたしましょう。
単刀直入に言うと、ストレスを発散するにはお金を使うことが一番手っ取り早くていいでしょう。逆に貯金をすると、お金も貯まるでしょうが、利子以上にストレスが溜まります。
昔、株式会社武蔵野の社員で貯金好きな者がおりまして、尋ねてみたことがあるのです。「あなたが貯金をする目的は何か?」と。すると彼はこう答えました。「それは、だって、病気をしたりすると、入院や手術などでお金が必要になりますから」。その後、彼は本当に病気になってしまいました。なぜならば、「病気になること」を目的にお金を貯める精神的体質になってしまっていたからなのですね。「病気になっても困らないようにする! 病気になっても。病気になっても・・・」という想念が、実際に病気を引き寄せてしまったとも言えるわけです。最近よく言われる“引き寄せの法則”ですね。
これが別の目的であっても同じです。「老後に困らないようにとにかくお金を貯めなくては! 老後に困らないように。老後に困らないように…」と考えていたら、困ってばかりの老後を招きかねません。「金は天下の回り物」とはよく言ったものですが、お金は適度に使ってあげるほうが、心にも体にも、環境的にも一番なのです。
もっとも、宵越しの金を持たないでいいと言っているわけではありませんよ。常識的な範囲での蓄えはあってもいいでしょう。しかし、お金は、使ってあげることによってストレスも一緒に連れて行ってくれるものでもあるので、有意義に使ってあげましょう。
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
ストレス解消のためには、お金を使うのが一番効果的な方法です。お金を使うためには、使えるだけのお金をしっかりと稼がなくてはいけません。稼ぐためにはしっかり働かなくてはいけません。しっかり働こうと思ったら、自分の健康に気を遣い、同僚や仲間を気遣い、もっと真摯に仕事に打ち込もうと自然に思えてきます。そのうちに評価が上がっていき、稼ぎもついてきます。お金を使うことは単なる消失ではなく、好循環を生む窓口と見ることもできるのです。
【相談ケース72】 仕事に向きあうのが億劫です
小山社長、お世話になります。実は、最近すごくストレスが溜まるんです。上司や同僚との人間関係や仕事の内容そのものは特につらくないのですが、事務所の机に座っても仕事に向きあうのが億劫で、でも理由がわからなくて・・・。働き方としては、終日デスクワークです。でも、作業内容は同じことの繰り返しで、自分の存在意義を感じられない気がします。これって、やっぱり、今の仕事に向いてないってことなんでしょうか。(23歳 会社員・男性)
同じ作業を長時間続けない
若い人は悩むものですし、そこを叱ってもしょうがないのですが、今回ははっきり言いましょう。「考えが甘すぎる!」と。
よく聞きなさい。あなたは毎日同じことを繰り返すことに飽きているだけではないですか? 何か工夫をしましたか? 工夫もせず仕事の向き不向きを考えるなど、早計もいいところです。
仕事で溜まるストレスにはいくつかの原因があるものですが、最も多いのは同じことをずっとやり続けてしまうことです。それが高じてモチベーションを下がってしまうことも往々にしてあります。であれば考え方は1つです。同じ仕事を繰り返さず、定期的に変えていけばいい。要するに、同じ作業を一定時間以上続けず、切り替えていくのですね。
私の例で言えば、同じ作業を2時間以上続けることはまずありません。朝会社に出社したらまずは会議が1時間半、次は銀行訪問、次はお客様相談、それから昼食をとり、現地見学会を経て内定者の最終面接、それが終わったらなんたらかんたら・・・。勘違いしてほしくないのですが、「俺はこんなに忙しいんだ」と忙しさ自慢をしているわけではありませんよ。
とにかく種類の違う作業をどんどん入れていくのです。そして目の前の作業に集中するのです。1つの作業には終わりが見えていますよね。延々と1日中、もしくは今日も明日も続くわけではない。せいぜい1時間程度なら最後まで集中しようと思えるはずです。実はそのほうが、ストレスが溜まらないだけでなく、トータルの作業効率もすこぶるいいのです。
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
人間関係や第三者の介入がからむことならともかく、自分一人で行う作業は、工夫の仕方によってストレスを溜めないようにできるものです。またその工夫が能率を上げることにもつながりますし、いくつかの作業、タスクをこなすことができたら「今日はこれだけ頑張ったんだ」と自信にもなります。いいことづくしなのですね。自分や自分の可能性を否定する前に、まずはこれを試してみてください。きっと周囲からの評価も見違えるほど変わり、今の仕事が好きになるでしょう。
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ストレスというものは、溜めこんでしまうとやっかいですが、1度自分の側から離してみるとなんでもないものです。「なんだ、こんなことで悩んでいたのか。バカバカしい」と思えるようになってくるでしょう。今回私がお話ししたのはほんの一例です。お金を使う方法や作業を変える工夫以外にもご自分に合った方法はあるはずですので、それを探してみてください。皆さんに楽しい日々が訪れますように。ではまた来月。
明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.36 ストレス知らずになる方法
執筆者プロフィール
小山昇 Noboru Koyama
株式会社武蔵野 代表取締役社長
経 歴
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。
オフィシャルホームページ
http://koyamanoboru.jp
(2015.11.4)