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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.26 土台なければ家建たず 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 あけましておめでとうございます。新年ですね。心機一転、気持ちを新たに仕事に取り組みたい社員はもちろん、部下により大きな戦力になってもらうために、奮起と成長を促したいと考えている上司もいるでしょう。そうは言っても、どうしても成長できない社員はいるもの。「何度言ったらわかるんだ!」いい加減そんなセリフで喉をからしたくはないですし、社員も聴きたくないですよね。問題児と呼ばれる彼らを、どのように鍛えてあげるといいのでしょうか 新年一発目はそのご相談から。
 
 
【相談ケース51】どうすれば部下の寝坊癖が直る?
 
小山社長、あけましておめでとうございます。新年早々お恥ずかしい限りなのですが、ある部下の寝坊癖を今年こそ直したいと思っています。直属の上司である私が何度言っても直らず、いい加減、部課内でもかばいきれなくなりつつあり・・・。どうしたら自覚を持たせられるか、ご助言をお願いできますか?(38歳 会社員・女性)
 
 

悪癖治療の処方箋は上司の汗

 
 この手の問題で大事なことは、「上司が汗をかく」ということです。実は、部下の悪癖を直せる上司は、すべからく皆汗をかいています。「上司が部下のために汗をかくなんてバカバカしい」と思っているとしたら、あなたの部下の悪癖はまず直りません。
 では、具体的にどうするか。遅刻した本人が一番悪いのですが、あなたが注意する時、遅れて出社してきたその部下を、会社の中で注意していないでしょうか? それでは部下をつるしあげるだけ。効果はありません。寝坊癖が直らない時は、上司であるあなたが直接自宅に電話して、起こしてください。それでも直らなければ、あなたが直接家まで迎えに行ってください。と同時に、「今日も**の家へ迎えに行ってきたわ」と、他の社員に吹聴してください。
 そうするとその部下は他の社員から、「お前、上司に迎えに来させるなんていいな。重役だな」などと冷やかされます。「皆が冷やかす」というのが大事です。こういう文化が定着している職場はいい職場です。この文化の中にいれば本人も変われるでしょう。
 もうひとつポイントになるのは、悪癖矯正係の直接指導者を置くこと。寝坊・遅刻癖のケースで最適なのは、過去に同じように遅刻の常習犯だった人ですね。「私も冷やかされた。みんなあなたのために言ってるんだよ」「私だって嫌々でも遅刻しないようになった。あなたもできるよ」と指導させるのです。笑い話ではありません。理屈ではない、妙な説得力があるんですよ。武蔵野でも実際に成功していますので、自信を持って言えます。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 上司が直接電話をしたり迎えに行ったりすることで、緊張感が生まれます。寝坊をするたびに「今日も電話がかかってくるな」「今日も迎えに来られるな。うわ~」などと思うと、簡単に寝坊できなくなるのが人間というものなんですよ。同じ過ちから更正した人を見本にすることで「自分もできるはず」と思えるようになる。寝坊癖というのは、本人の意識の問題ですので、単に叱っていればいいという問題でもないのです。
 
 
 
【相談ケース52】同じミスを防ぐためには?
 
こんにちは、小山社長。ひとつ気合いを入れていただきたいと思って相談を寄せています。実は僕は、どうしても何度も同じミスをしてしまうんです。気を付けているつもりなのに、何度も何度も。いい加減、周囲は「またかよ」って目で見ますし、なんか「できないヤツ」みたいに思われはじめてて、イヤなんです。お願いします! 気合いの入るお言葉をいただけませんか!(21歳 会社員・男性)
 
 

気合いでミスは減らせない

 
 あなたは、なかなかおもしろいことを言うね。気合いなんてものは、人から入れてもらうなんてことをせず、自分で入れなさい。私はアントニオ猪木さんじゃないんだよ(笑)。
 そうは言っても、困っているのは確かなのでしょうから、ひとつアドバイスをしましょう。まず、あなたは「ミスを防ぐ」ということのために、どんな工夫をしてきていますか? 「気合い」なんて言っているくらいですから、「がんばってミスしないようにします!」などと抽象的で精神論に偏った思い込みを対策と勘違いしていませんでしたか?
 ミスを繰り返さない、またはミスを減らすために必要なのは、気合いではなく「仕組み」なのです。自分が同じミスを繰り返す人は、以前やってしまったミスを忘れてしまうことが原因です。また、やるべきことのチェックを基本的にやっていません。自分の目で見て、「今日はこれをやらなくてはいけない」「今日はこれを忘れたらいけない」というチェックをせず、行き当たりばったりで物事に対処していることが多いのです。
 大事なのは、自分自身の行動をチェックする仕組みをつくること。すぐにできるのは、やるべきことのリスト化でしょう。プラス大事なのは、それをいつチェックするのかまで仕組みにすることです。朝でも昼でもいいですから、毎日決まった時間にチェックする習慣をつけてください。チェックする時間なんて5分もかからないのですから。
 そしてもうひとつ、自分の行動を人に監視させることです。「この日のこの時間までに、これを終えておく」などと周囲に話しておき、「あれ、どうなってるの?」と聞いてもらえるようにするのです。つまり相互チェック要員をつくるということですね。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 人間の記憶力なんていい加減なものです。忘れる人のほうが正しいのです。ですから、手間をかけて、こまめにチェックするしかありません。仕事というものは決定と実行とチェックの繰り返しです。間を飛ばして成果だけをスムーズに出すなんて虫のいい方法論はありません。ここで申し上げたことは、誰だってやろうと思えばできます。頑張ってください。
 
 
 新年第1回目は、仕事における基本中の基本ができていない問題児をどう扱うかに焦点を当てました。でも、基本を固めなおさなくてはいけないのは問題児だけではありません。仕事でもスポーツでも基本が一番大事。年明けのこの機会に、キャリアのある人もない人も、自分を優秀だと思っている人もそうでない人も、もう一度仕事をするうえでの基本をおさらいしてみてはどうでしょうか。それによって2015年の仕事ぶりの土台が固まると思いますよ。
 
それではまた次回!
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.26 
土台なければ家建たず 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

(2015.1.7)
 
 
 
 

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