こんにちは、小山です。いよいよ今年も残すところわずか。クリスマス、年越しと加速度的に忙しくなっていきそうですね。もちろんビジネスのほうも一年の有終の美を飾るべく、地に足をつけてやっていきたいものです。ところが12月には毎年魔物が出るようで、忙しさのあまり社内の人間関係がギスギスしがちになると耳にします。今回は、そんなギスギスモンスターをはねのけて、今まで以上に社内に活気をもたらし、来年へと弾みをつけるヒントをお伝えしましょう。
【相談ケース49】会議が活性化しない理由は?
いつも勉強させていただいています。現在、私は課長として数名の部下を持っておりますが、一つ悩みがあります。私の力量不足で、課内会議がいつも活気づきません。私がいくらハッパをかけてもダラダラとなり、時間ばかり浪費している気がしてなりません。どうすれば会議に活気が出てくるでしょうか?(34歳 会社員・男性)
会議に緊張感を持たせる決めごと
これは実に簡単な話です。会議やミーティングを成功させるにはセオリーがあります。そのセオリーを守るだけで、格段に良くなるでしょう。まず、現場の事実を確実に共有すること。ここから始めましょう。
会議で担当者がよくやる口頭報告の中には、憶測や言い訳、事実誤認など、事実とは異なるファクターが多く含まれるものです。これが会議を非効率にさせる元凶です。
武蔵野の会議は、各議題について、まず事実報告をさせます。報告は必ず概要書にまとめさせ、その中にお客様の声、ライバル社の情報、取引先の情報をすべて含ませます。客観的な数字を入れることも重要です。文章量はA4で2行のみ。なぜ2行かというと、長くなると担当者が言い訳を書いたり、ごまかしたりするからです。
他にも、お客様の声はカギカッコでくくって、それが担当者の見解なのかお客様の声なのか区別できるようにするなど、細かな文書フォーマットを決めています。自分だけの書式は使わせません。そうしてまとめた会議資料をプロジェクターで全員の前に映し出し、視覚的に共有します。そうやって事実が出そろった最後に、担当者の分析なり意見なりを発表させます。
この時に大事なポイントは、必ず職責下位の者から報告させ、職責上位の人たちのコメントは最後にすること。上位から発言してしまうと、下位の人たちが上の発言に迎合してしまいますからね。
時間についても目安があります。場合によってはタイマーを使って、担当者一人あたりの議題の持ち時間を制限するといいでしょう。武蔵野では一人7分が目安です。時間が来たら遠慮なく打ち切り。時間制限があれば要点しか言えませんし、大事なことから優先順位を付けて発言しますから、時間は浪費されないはずです。
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
会議やミーティングに集中させるためには緊張感が必要です。事実だけが並んでおり、事実に即した判断だけがなされる会議は緊張感が高まり、熱を帯びます。ごまかしが利かない真剣勝負の場だからです。そこでは結果が出せない担当者は上司の突っ込みに反論できません。事実として結果が出ていなければ、反論のしようがないからです。あなたもぜひ実践してみてください。
【相談ケース50】無理な納期を相談するときには?
はじめまして、小山社長。実は、最近、主要のお取引先に無理な納期の要望を言われることが多く、この年末にも大きな難題が降りかかりそうな気配です。普段ですら社内で相談したら「そんなスケジュールではできない」と言われることが多いのに、いつも以上に忙しい年末にお願いをしても断られることは目に見えていて・・・。 私だって無理は承知ですが、どうしたらうまく協力してもらえるでしょうか?(28歳 会社員・女性)
個人でもできる人間関係づくり
まずは、日頃からそのような相談ができる人間関係を築いておくことが一番。でも相談者はそこができていないようなので、頭を抱えているのでしょうね。
社内で無理なのであれば、外部にアウトソーシングするやり方が挙げられます。外注であれば多少の無理も利きますからね。「地獄の沙汰は金次第」などと言いますが、それが当てはまります。
ただし、これはあくまでも応急措置です。外注に頼ってばかりでは外注費がかさみますから。やはり、あなた自身が、社内に向けて、無理をお願いできるほどのコミュニケーションをとっていかなくてはいけません。また似たようなことが起きた時に頭を抱えるのは、他ならぬあなた自身ですからね。
もっとも、こうした事態が起きる前に社内コミュニケーションを誘発させられていない会社や上司も無能です。本来ならば、組織が率先して社内に潤滑油をたらすべきです。
たとえば、こんなのはどうでしょう。工場を持っている会社なら、毎週金曜日、全セクションが工場に出向いて現場を手伝うのです。これは組織としてのルールなので、嫌でも行かなくてはいけません。こうしておけば、現場としては毎週手伝ってもらっているわけですから、多少無理な相談が来ても「いつも手伝ってもらってるからな・・・」と断りにくい。もう義理人情の世界なのですよ。
武蔵野も、年末のサービスマスター事業部は猫の手も孫の手も犬や猿の手も借りたいほど忙しくなりますから、別セクションの経営サポート事業部も総出でサポートに入ります。こういう部門横断のコミュニケーションが、いざという時の切り札になってくれるのです。
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
組織的に部門間コミュニケーションがとれない時は、個人でできることをしましょう。同期会を催したり、社内の趣味サークルに参加したり、なければ立ち上げるなど、横のつながりをつくる方法はあるはずです。「会社での人間関係に時間をかけたくない」などと言うなら、そもそも人に助けてもらおうなどと考えるべきではありません。それでも「どうしても・・・」というならば、1万円札でも添えて頼む他はないでしょう、外注のように。
*
年の瀬は仕事が大混乱しがちなのは確かでしょう。しかし、ピンチこそチャンスです。今までの自分を見直して、新しい年の幕開けからいい仕事ができるように、今までのやり方や人間関係のあり方を思い切って変えてみましょう。特に若い方にはステップアップしてほしいものです。
さて、今年の連載は今回でラスト。また2015年、笑顔でお会いいたしましょう!
明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.25 社内営業は年末に
執筆者プロフィール
小山昇 Noboru Koyama
株式会社武蔵野 代表取締役社長
経 歴
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。
オフィシャルホームページ
http://koyamanoboru.jp
(2014.12.3)