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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.24 “便利なITツール”との付き合い方 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山です。山々もすっかり色づき、秋が深まってきましたね。11月は「霜月」で文字通り霜がつく季節。朝夕の冷え込みに気を付けて、年末に向けて効率よく仕事をしたいものです。効率といえば、最近は様々なITツールが出回っています。タブレットや携帯端末もどんどん進化し、ビジネスに取り入れる企業が増えています。ただ、ITツールも上手く使わないと思わぬ落とし穴が待っていますよ。今回は、ビジネスとITのありかたを考えてみましょうか。
 
 
【相談ケース47】 上司から友達申請が来たら?
 
小山社長、初めまして。私はプライベートでSNSを利用しているのですが、最近、メインで使っているサイトで上司や職場の人に見つかるようになり、友達申請が来るようになっています。でも、SNSはプライベート限定のつもりなのであまり仕事関係の人は入れたくないんです。見られて困る投稿があるわけじゃないんですが、気持ち的に嫌です。申請はどう扱うべきでしょうか。(30歳 会社員・女性)
 
 

マナーの悪い使い方にはNGを!

 
 なるほど、最近増えている悩みの一つですね。仕事とプライベートを分けることは大事です。でもSNSなどでつながれば、気分的にオンオフを分けきれなくなってしまいます。
 これはもう結論ははっきりしています。自分が嫌ならば認可しなくていいでしょう。職場の人間関係のことを考えると、申請を却下したことで気まずくなる可能性は確かにあります。でも、仕事は仕事。友人にならなかったからといって、あなたの仕事ぶりが変わるわけではないでしょう? 人間関係でこじれるような人と、そもそも付き合わないという強い気持ちでいてもいいのです。
 また、上司によっては、LINEのグループで部下をまとめて、指示や連絡をそこで一斉に出したがる人がいますね。こういう手合いがよくやるのは、休日だろうが、深夜だろうが、思いついたらすぐ連絡してしまう。これもいただけません。
 当社でも一度、金曜の夜23時半にLINEで部下に仕事関係のメッセージを送った者がいました。聞いてみると、月曜日の仕事に関わる重要な連絡だったらしく、翌週出社してから連絡するよりは早いほうがいいと考えたそうです。
 私は即、その社員に始末書を書かせました。マナーが悪いからです。会社を離れたところでまで指示を出されるいわれはありません。しかも時間帯も時間帯です。これが友達同士の連絡ならまだしも、仕事のメールが23時代にプライベートなツールで来たら、誰でもモチベーションが下がるはず。そこが見えていない上司は上司に非ずと、処罰を与えたのです。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 ITツールによって、プライベートと仕事の境目がなくなりそうなときは、それなりの対処が必要です。ツールが会社指定のものであれば、利用時のマナーをきっちり決めて、それを徹底するよう呼びかける。会社指定外のものであれば、そこで上司や同僚とつながるかどうかは利用者の自由です。それを強要してくるようであれば、一種のパワハラとして人事や別の上司に相談してみてもいいでしょう。
 
 
 
【相談ケース48】 ITツールはどう使うべき?
 
私は常日頃から、企業を経営する身として業務の効率化を図るべく、IT化も推進したいと考えております。そこでお伺いしたいのですが、株式会社武蔵野様では、どのようなツールをどのような形で利用なさっていますでしょうか。またお薦めのツール、また逆にビジネスには向かないツールがあれば、ぜひご教授いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。(58歳 経営者・男性)
 
 

深く狭く利用するべき

 
 ITツールを利用するにあたって、私は一つ、大前提を設けています。それは「多くのツールを使わないこと」。現在は、LINEやfacebook、GoodNotesなど様々なツールが世に溢れていますね。どれも便利なので、複数を同時に使いたくなるところ。ただ、そこに落とし穴があるのです。
 社員一人あたりが使うツールが増えるということは、彼らに届く情報量が増えるということです。その情報を処理できればいいでしょうが、多くの社員は処理しきれません。すると、「情報を追うこと」が利用目的になってしまう。ツールを見ることで満足し、それだけで業務時間が終わってしまうのです。
 武蔵野では、いろいろと試した結果、連絡やタスク管理などはChatWorkに絞り込んでいます。オフィシャルではそれ以外は使っていません。ChatWorkのいいところは、間違ったメールの送信取り消しができることです。先日、本当にあった笑えない話なのですが、社員がお客様に見積書をお送りするとき、間違って原価表を付けてしまいました。通常のメールソフトは、送信取り消しはできません。ChatWorkだったからこそ「まずい!」と思った瞬間に取り消しができ、事なきを得たのです。
 反対に、ビジネスにはあまり向かないのはLINEでしょうか。履歴が全部残ってしまいますからね。ある社長さんがLINEを業務連絡に取り入れたところ、キャバクラか何かで懇意にしている女性とのやりとり履歴が全部出てしまって、大恥をかいたとか(笑)。アプリ自体が悪いわけではありませんが、使いようの問題ですね。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 世の中、何事も“広く浅く”は上手くいきません。ITツールも同様で、“狭く深く”使うべきです。商品展開だって、やたらに新商品や新サービスばかり投入しても良くないでしょう。武蔵野は50年間、繰り返し同じような商品を扱っています。基本のビジネスモデルも変えていません。それが成果につながってきました。
 スピーディに事が運ぶのはいいことですが、「便利である」というのと「成果が出る」というのは別の話なのです。本当に自社に適したツールは何なのか。流行に流されない判断をしましょう。
 
 
 ITツールは、プライベートで使えば楽しく、生活を潤わせてくれます。でもプライベートの感覚で仕事の連絡をしたり、業務に携わってしまう懸念はなしとしません。独自開発したシステムならば別ですが、そうでないツールを自社で利用する際は、社内のモラル、マナーのガイドラインを設けることがまず必要です。そして、あくまでも目的を達成するための道具であるという意識を忘れないように。
 
ではまた次回、お会いしましょう。
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.24 
“便利なITツール”との付き合い方 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

(2014.11.5)
 
 
 
 

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