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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.23 食欲の秋、○○の秋、中途採用の秋 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山です。すっかり秋めいてきた今日この頃、過ごしやすい季節ですから仕事もはかどっているのではないでしょうか? 秋と言えば、スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋などいろいろとありますが、ビジネスシーンでは「中途採用の秋」でもあります。年度切り替えにともなって、新規事業の追い込みや、退職者の後任補充の準備がスタートするなど、環境に変化が出てくるためです。そこで今回は、中途採用に関わる質問を取り上げてみました。まずはこちら。
 
 
【相談ケース45】 中途採用を成功させる面接とは?
 
小山社長、はじめまして。弊社は、まだまだ規模の小さな会社ですが、社員みんなで力を合わせて頑張っております。そんな中、創業メンバーの一人が寿退社することになりまして、新しく社員を迎える必要が出てきました。ですが、中途採用は初めてで、どのような面接の仕方がいいのか、考えているところです。何か良いアドバイスをいただけないでしょうか? (29歳 経営者・女性)
 
 

面接者には驚きを与える

 
 なるほど、今回の採用で会社の雰囲気ががらりと変わるかもしれませんので、慎重にいきたいところですね。面接をするうえで大事なのは、その人が「過去にどのような体験をしてきたか」を見ることです。いい体験もあれば悪い体験もあるでしょうが、最も採用基準として良いのは「理不尽な体験」です。
 たとえば、前職の上司から理不尽な命令ばかりを受けてきたとか、仕事でなくても人生において理不尽な思いをしてきたとか。そういう苦労をしてきた人間は見込みがあります。ただし、単に苦労をしてきただけではいけません。その苦労をポジティブにとらえているかどうかが重要です。「前の上司は本当に嫌なやつで、今でもすごく嫌いで、呪いの藁人形をつくって毎晩釘を打っているんです・・・」なんて人は当然不採用。ネガティブの塊だからです。
 でも逆に、「確かに理不尽でしたけど、その経験があったからこそ強くなれて、人の痛みがわかるようになりました」となると、理不尽な思いをポジティブに転換できていますので脈ありなのです。そういう人は会社にとっていい風を吹き込ませてくれるでしょう。
 ちなみに、面接をする時、とても効果的な質問があります。それは、面接者の頭の中で考えられてきたマニュアル的な答えがぶっ飛んでしまうような、意味不明な質問。たとえば、武蔵野ではこんな質問をします 。「雨と霧と雲の違いはなんですか?」 みんな目が点になっていましたね。それはそうでしょう(笑)。
 でも、いきなりこうした質問を受けるから、頭の中にあった余計な準備物がぶっ飛んでしまい、本音で自分を出せるようになるんです。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 面接で見るべきは、その本人の人格であり本音であり、心の奥底にあるものです。それを引き出すのが面接官や企業側の役割。企業の多くはありきたりな質問をして、当たり障りのない面接をして、採用した後に後悔しますが、それはそもそも採用側に問題があります。マニュアル通りのやり方で終わりという面接では、優秀な人材は採用できないと考えておきましょう。
 
 
 
【相談ケース46】 現場の和を乱す中途採用者
 
こんにちは、いつも楽しく拝読しています。先日、中途採用を行ったのですが、少々困ったことになりました。それまでの経歴が立派で、「これは即戦力として期待できる」と考えて採用したのですが、どうにも社内でしっくりこない。要するに、プライドが高くて使いにくいという不満が現場から出てきてしまっているのです。当社の試用期間は3ヶ月だったのですが、その試用期間中は大人しくしていただけのようでして・・・。今扱いに困っているところなのです。何か良い改善策はありますでしょうか? (45歳 経営者・男性)
 
 

伸びた鼻っ柱は折りましょう

 
 3ヶ月間、猫をかぶっていたとはなかなかの強者ですが、それに気付かない、または気付ける環境でテストをしていなかったということは、まず会社として大いに反省すべきでしょう。
 そのうえで、とっておきの改善策があります。現場でプライドが高すぎる人には、その人がまったく体験したことがないことをやらせてみるのです。これは上司命令、会社命令としてやらせます。経験したことがない仕事は大なり小なり失敗しますから、ハードルが高く未経験の領域で失敗させることによって、いかに自分が無能かということを思い知らせるのです。よく「鼻っ柱をへし折る」と言いますが、まさしくそれ。折って、屈辱を感じさせ、そこから這い上がらせるのです。
 武蔵野でも最近似たようなことがありました。中途採用ではないですが、全社で能力的には(仕事の結果ではなく能力ですよ)ナンバーワンの男性がいます。でも、その男性は自分の能力を傘に、部下や周囲に対して怒鳴ってばかりで、現場の空気が悪くなっていました。
 そこで私は、その男性を、全社で最も理不尽な男性の部下にしました(笑)。その上司は説教が長い。下手をすると20時から夜中の2時まで平気で説教をします。自分の名前を呼ばれたらそれだけでドキッとしてしまうような上司です。その結果・・・は、言わなくても想像がつくでしょうか(笑)。
 一番いい方法は、中途採用で入れずにアルバイトで入れることです。そして半年間アルバイトとして使います。3ヶ月だと少し微妙でしょう。半年の間、上司ではなく同じアルバイト仲間にヒアリングして人柄などを探っていきます。それだけで、かなり正確な評価が下せるはずですよ。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 そもそも中途採用で採ってはいけないタイプというものが存在します。それは「高学歴で転職が多い」タイプ。プライドが高くて、どこに行っても現場でぶつかってしまうので我慢できずに転職しているというのがミエミエです。「俺が本気を出せば、どんな仕事でもできるんだ。できないのは会社のせいだ」とね。頭がいいという自分のプライドを否定できないんです。これだと使えないので、最初から気を付けましょう。
 
 
 中途採用にせよ、新卒採用にせよ、社会への適応能力があるかどうかはとても重要な要素です。理不尽な体験をポジティブに転換する、自分の能力をひけらかしたり、学歴にあぐらをかいたりせず、謙虚に現場に溶け込んでいこうとする。それはともに「素直さ」というキーワードでくくれるのではないでしょうか。類は友を呼ぶとありますが、問題社員たちが跋扈しないためにも、日頃から会社の雰囲気をクリアにして良い雰囲気づくりを欠かさないことも大事です。
 
ではまた次回!
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.23 
食欲の秋、○○の秋、中途採用の秋 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

(2014.10.1)
 
 
 
 

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