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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.19 社員も顧客も安心できる企業とは 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山です。梅雨のシーズンではありますが、ジメジメした中でも文字通り腐らずに働いていますでしょうか。間もなく本格的な夏がやってきます。受験生への檄で「夏を制す者は受験を制す」などと聞きますが、ビジネスも似たところがあります。夏にしっかりと地盤を固めて、残り半年を走りきっていただきたい。そこで今回は、「人の心」をテーマに取り上げてみました。まずはこちらの質問からいってみましょう。
 
 
【相談ケース37】 社内結婚は奨励すべきかどうか
 
小山社長、初めまして。小耳にはさむところによると、株式会社武蔵野様は社内結婚が多く、小山社長も社内結婚を奨励されていると聞きました。私の経営する会社も、タブーにはしていないものの、社内恋愛や社内結婚についてはむしろ触れないようにしてきましたので驚いています。経営戦略上、奨励することで何かメリットがあるものなのでしょうか?(56歳 経営者・男性)
 

会社の状態がいいから社内結婚が増える

 
 結論から申し上げると、メリットはおおいにあります。社員どうしが結びつくことで、家庭が会社を信用するようになるからです。つまり、妻が夫の職場をよく知っており、夫の職場のルールや風習をしっかりと把握しているということは、夫の仕事への理解につながり、家庭円満のもとになります。家庭に不協和音が響いた状態では男は仕事に没頭できないものです。妻が夫の会社のことをよく知っていると内助の功が的確になり、ますます安心できることにもなりますね。
 そもそも、社内結婚ができる会社、社内結婚が多いというのは、会社の状態そのものが安定し、良い状態にある証拠だと私は考えています。人間心理として、相手の勤め先に「この会社はいつまで続くかわからないな」「危ないな」と感じたら、そこの社員と結婚しようなんて思いません。女性からすると、「会社は安定している。夫もそこそこ働けている。食いっぱぐれることはなさそうだ」とリスク管理ができます。「私が女性社員をよく知っているから、変な浮気に走ったりしにくいはずだ」と、素行面もついでに管理できますね(笑)。
 これは半分笑い話ですが、社内結婚した夫婦が家庭でケンカをしたとします。時々あるのが、妻側が「いいわよ!社長に言いつけてやるから!」と、本当に私のところへ相談に来るのです。私としては、奥さんも社員(ないし元社員)ですから話を聞きます。そしてそれを早朝勉強会で発表するのです。夫は冷やかされるのが嫌なものですから、早く仲直りして元の状態に戻ろうとします。こうして家庭不和が解消され、夫婦とも仕事に没頭できるようになるのです。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 家庭の状態が良くなれば仕事のモチベーションもパフォーマンスも上がるものです。さらに、社内結婚どうしで付き合う家族が社内に増えると、会社の風通しがよくなります。仕事と家庭を両立してほしいなら、ぜひ社内結婚を奨励しなさい。ちなみに、私の経験上、妻側からの相談には、夫婦ゲンカの悩みと「夫にやる気がない」という悩みが多いです。私の答えは決まっています。ケンカには「家の中に夫の逃げ場をつくってやれ」。夫のやる気には「小遣いの額を上げて、賞与は半分は渡してやれ」です。奥様教育まで私の仕事なんて、ヤレヤレですが(笑)。
 
 
 
【相談ケース38】 どうすれば地域の信頼を得られる?
 
いつも楽しく拝読しています。新米経営者として、小山社長の訓示をいつも振り返って頑張っています。弊社は「地域密着」をモットーに、起業から10年を迎えます。地元に信頼されるために新聞広告を出したり、ビラを撒いたり、地元キャンペーンをやったりと様々な工夫をしてきましたが、思うほどの効果が出ていません。その点、武蔵野様は地域に根差し、地元から大変信頼されているようで、その秘訣を教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。(39歳 経営者・男性)
 

地元の生活圏に実際的に貢献するべき

 
 地域密着ビジネスにおいて成功と失敗を分けるのは、一つには、地域の役に立っているかどうかです。確かに、アピールを続けることは大事です。使ってもらって接してもらって、次第に理解を深めていく。しかし、地域の人々にとって大事なのは、「自分たちの生活圏に実際のメリットをもたらしてくれるかどうか」ではないでしょうか。
 武蔵野の場合でいうと、一昔前は、地元商店街でのダスキン利用率は7%程度でした。しかし大変ありがたいことに、現在では90%以上あります。さらに、商店街に新しくお店ができると「ダスキンを入れるなら武蔵野さんがいいよ」と、古参の商店主の皆さんが営業までしてくれます。どうしてこれほど信頼されるようになったか。それは地元の賑わいに貢献し続けているからだと考えています。
 武蔵野では、地域のお祭りに社員総出で参加します。テントの設営などの準備を手伝うのはもちろん、出店にも加わり、特に担当にならなかった社員も当日は家族を連れて冷やかしに来て、祭りの雰囲気を盛り立てます。それらは全て賞与の評価対象になります。もちろんです。
 これは社員にとって「お客様視点」を鍛えるためのいい勉強の機会になっています。たとえば出店の回転率が悪ければ、どうやって回転率を上げるか。どうやればお客様が不満を持たないか。自分の出店にお客様を引きこむにはどうやってアピールするといいか。それらを普段の仕事から離れた場面で考えることで、仕事でもいい気付きが得られる。つまり、地域の皆さんにも武蔵野にも、デメリットは一切ありません。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 お客様視点を養うことは営業力強化において欠かせません。武蔵野が毎年参加している「東小金井南口商店会夏祭り」は、ひと頃は1000人程度だった参加者が、今では25倍、25000人を超える延べ人数が訪れるようになりました。企業的なお客様目線を生かしていろんな工夫を取り入れてきたからです。その点で当社は少なからず貢献したと自負しています。こうした地元への協力・貢献が最終的には地域から受け入れられることにつながるのです。ちなみに、皆さんがお祭りの主催側になるなら一つだけヒントを。来場者数を増やしたいならポイントは「子供をどうつかまえるか」です。子供にせがまれれば大人も出かけますからね(笑)。頑張ってください。
 
 
 人間心理は移り気で、一企業がずっと安定的に信頼されるということはありません。やはり、コツコツと積み重ねる日常があってこそ、社員からも地域からも信頼されるというもの。社内結婚や地域密着と聞くと「狭い世界で・・・」と感じるかもしれませんが、狭い世界で人の心をつかめないで、はたして広い大海に出て人心を打つサービスや営業ができるでしょうか。社員は人、お客様も人です。人には気持ちがある。その気持ちに寄り添えないと、事業はできませんよ。ではまた来月。 
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.19 
社員も顧客も安心できる企業とは 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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