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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.15 鬼は外にあり、福は内にあり 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山です。皆さん、節分の豆まきはしましたか? 節分でよく聞くのが「鬼は外、福は内」という願掛けの言葉。日本では古来から、悪いものをしりぞけ、福がやってくるように願いを掛けてきました。実は、企業経営でも、この「鬼は外、福は内」という言葉は案外あてはまるものです。ただし、「鬼は外へ行け」というだけの意味ではなく、「鬼は外にいる」、また「福の神は外ではなく内にいる」という意味があるのではないでしょうか。外の鬼とは何を指すか。ヒントは「信じるべき人は誰か?」です。では、さっそくこちらの相談から。
 
 
【相談ケース29】 助けの手が欲しい
 
小山社長、いつも拝読しております。日々、経営について学び、実践しているのですが、恥ずかしながら成果が出ないまま歳月を過ごしております。業績を向上させるべく何とか手を打ちたい、何とか助けの手が欲しいと願っており、経営コンサルタントの方に相談すべきかどうか迷っています。自分の会社ですから、全社的な経営判断は自分がすべきだとは思いますが、経営コンサルタントという専門職がある以上、コンサルタントに任せたほうが早期解決が望めるでしょうか。(50歳 経営者・男性)
 

まずは経営者仲間をつくる

 
 ご不安はとてもよくわかります。しかし、経営コンサルタントに任せる前に、一つお聞きしたい。あなたは、経営者のご友人がいますか? いるとしたら、そのご友人は業界違いの方ですか? もし、この二つの質問の答えが「NO」ならば、まず業界違いの経営者の友人をつくってください。
 経営改善のために大事なことが二つあります。一つは、成果が出ている会社を真似すること。成功事例を自社に招き入れることで体質改善を図れます。もう一つは、自社内でうまくいっていることを横展開すること。内部に成功事例があるものを自社のスタンダードにしてしまうのです。
 外部に成功事例を求める場合、業界内であると、確かに参考にはしやすいでしょう。でも、弊害も多くあります。近しいエリアに存在する同業者は必然的にライバルですから、いくら懇願しても手の内を明かすことはありません。東京と静岡など、ターゲットとなるエリアが大きく異なっていれば問題はありませんが、なかなか遠方の同業者と近しくなる機会はないでしょう。また、同業者からは同業界内の動きしか知ることができません。これもネックになりやすい。たとえば、そもそも業界全体の成長率が低い場合、どんぐりの背比べになってしまったり、同じように低迷していても、わずかな数字の勝ち負けで安心してしまうからです。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 畑違いの経営者の友人をつくり、成功事例を学ぶこと。全社的な経営改善をするならば、コンサルタントではなく経営者自身が成功事例をつかみとってきて、自社に浸透させなくてはいけません。武蔵野のセミナーでも、特にそのことを強く推進しています。そうして経営者仲間をつくることで業績改善ができているケースは枚挙にいとまがありません。まずはあなたが人脈づくりに精を出してみてはどうでしょうか。
 
 
 
【相談ケース30】 経営コンサルタントの選び方は?
 
小山社長、初めまして。実は現在、経営コンサルタントをお招きして、経営について客観的な意見をもらうべきかどうか決めあぐねています。会社が抱えている課題に対して、経営者の独断ではなく客観的な意見を聞かせてくれる人が外部にいたほうがよいと考えておりますが、どのような方にその依頼をすべきか、わかりかねているのです。よいアドバイスをいただけますでしょうか。(38歳 経営者・女性)
 

経営コンサルタントには何が期待できるか

 
 まず最初に、経営コンサルタントがどういう見方でクライアント企業と付き合っているかという現実をお教えしましょう。優秀なコンサルは、放っておいても業績が上がる企業と付き合おうとします。ビジネス的には労力をかけず顧客の業績が上がるならそれに越したことはありませんし、それを手柄にして次の営業ができるからです。つまり、ご自分で業績を上げられるならば、別段、コンサルを入れなくてよろしい。
 また、コンサルに会社全体の相談をする社長がよくいますが、これは大きな間違いです。経理や労務といった、特定の分野のことを相談するべきです。よく考えてください。コンサルで顧客企業を成功に導く能力があるなら、なぜその人が会社経営をしないのでしょうか?
 コンサルタントに多いのが学者あがりの人です。実は、いかに優秀でも、学者が経営をやってうまくいったケースはゼロ。一つもありません。理想のコンサルは、能力に優れ、経営経験があり、失敗経験と成功経験の両方を適度に持っていることが理想ですが、そんな人はほとんどいないでしょう。
 ここで「適度な失敗経験」とするのにも理由があります。成功しか体験していないコンサルには、業績が悪くなった時の対策ノウハウがありません。したがって打つ手がぬるくなり、現実的な相談にならない。反対に失敗経験ばかりの人は・・・そもそもお金を払って知恵を借りる相手ではありませんよね。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」
 
 経営コンサルタントに頼れるのは、あくまで部分的なサポートだと心得ること。会社のことを客観的に見てアドバイスをくれることも一つのサポートですが、高いコンサルタント料を払って何の薬にもならなかったら、こんな馬鹿馬鹿しいことはありません。また、同じ客観的な意見でも、粗悪なコンサルのそれは薬どころか毒になります。わざわざ自社内に毒を入れるようなことはしなくてよいのでは。学者の見識が豊かなのは否定しませんが、コンサルで意見されても一つの情報として受けとるに留めましょう。
 
 
 コンサルの他にも、何かにつけて問題が起きる前に弁護士に相談する経営者もよく見かけます。これも大きな問題。弁護士は「問題が起きた後の法的な処理」には長けていますが、問題そのものを解決できるわけではありません。外を見るより、まず内側を見る。社長自身が、自社を客観的に見られるようになることが、会社にとって何より頼もしいのではないでしょうか。ではまた。
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.15 
鬼は外にあり、福は内にあり 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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