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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.11 全社一丸!勝利の“ホウレンソウ” 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山昇です。残暑も過ぎ、季節は秋ですね。食欲の秋、読書の秋・・・秋もいろいろですが、ビジネスパーソンにとっては、“勝負の秋” ではないでしょうか。年末商戦を控える業種は戦いに向けた準備が始まるでしょうし、そうでなくても、年内に業績を高めて1年の有終の美を飾るには、ここからが勝負どころです。そこで今回は、全社一丸となるべきこの時期に 「どんな考え方で部下を仕事に取り組ませるか?」 「どのように会社や部署をまとめていくか」 という相談にお答えしましょう。
 
 
【相談ケース21】 年末商戦へどう挑むか?
 
初めまして小山様。私も、武蔵野様ほどの規模ではないですが、経営者として社員を預かる立場の者です。弊社は実店舗を抱える小売業ですので、年末は大事な商機です。昨年は思う以上の結果が出せず、今年は大勝負をかけて来年以降の業績回復につなげていきたい考えで、猛勉強しております。そこで不躾ながら、株式会社武蔵野様の年末対策ならびに管理業務のコツを教えていただけないかと思います。何卒よろしくお願いいたします。(53歳 経営者・男性)
 

事業はいつも変わらない

 
 ご連絡ありがとうございます。管理業務のコツとなると、弊社主催のセミナーをお受けいただくのが最も早い方法ですので(笑)、今回は年末商戦に関する私の考え方を申し上げておきますね。
 まず大事なことが一つ。それは昨年の年末と今年の年末は 「変わらない」 ということ。何が変わらないか、それは事業内容です。誕生日が毎年変わらないように、また正月が毎年来るように、会社の事業内容は基本的に大きく変わらないはずです。そう考えると、時期を特定した販売アプローチをするうえでは、「昨年は何をして、どうだったか?」 というデータが極めて重要になるのです。
 12月の商戦に向けて商品やサービスをゼロから更新するような新しいアプローチをするには、さすがにもう間に合いません。昨年やってきたことを踏まえて今年の年末商戦に勝つためには、昨年の記録を元に、うまくいったところとうまくいっていないところを徹底的に評価分析します。これは今からでもできることです。
 株式会社武蔵野では、昨年1年間のスケジュールや販売実績、営業実績が全て 「記録」 してあります。間違えやすいのが、記録の 「種類」 です。どこの会社でも、数字的な記録は残しているでしょう。しかし、漠然と数字だけが列挙されたデータがあってもダメ。何がどの地域でどの層に対して売れており、誰が担当し、準備はいつからどのように始めたのかという状況が克明にわかる、項目ごとに整理された記録が必要です。販売の伸びが悪ければ、必ずどこかに原因があるはずです。数字だけ、あるいはあいまいな記憶だけで話をしても、何の解決にも至りませんよね。
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」
 
 失敗の原因を絞り込まずに 「全部ダメだった」 と総括するべきではありません。また 「過去を振り返らず、前だけ向いていく」 という無謀な精神論もビジネスの世界では通用しません。いきあたりばったりは、商戦ではなく 「脱線」 というものです。大事なのは事前のプランニングより事後のアセスメント。細部に至るまでの的確な評価分析ができれば、勝機はおのずと見えてくるはずです。
 
 
 
【相談ケース22】 不毛な会議はもうやめたい!
 
小山社長、初めまして。少し悩みがあり、メールさせていただきました。私は営業セクションを管理する立場におります。しかし、お恥ずかしい限りですが、どうも会議を上手くまとめられず、建設的で意味のある会議にするやり方に悩んでいます。時間の浪費で終わらせるのではなく、部下にとっても、部署にとっても意義のある会議にしていきたいのですが、どのようなポイントに気を付ければいいか。ご見識をいただけたら幸いです。(37歳 会社員・男性)
 

会議の時は口で話すな

 
 会議の際、最も大事なのは 「口で話さない」 ということ。はっきり言えばこれに尽きます。「皆で話し合う場なのに、口で話さない」 というのはまるで禅問答のように聞こえますが、正確に言うと、「口頭だけで話し合って終わる会議にはしない」 ということですね。
 口頭だけで話すと、二つのデメリットが生じます。一つは、職責上位の人と地声が大きい人に場が支配されてしまうこと。声が小さかったり、性格的に遠慮がちだったりする人の意見は圧殺されやすいのです。もう一つは、話がズレやすいこと。論旨が違う方向に行ってしまい、本来の主旨や目的を見失う結果になりかねません。
 ではどうすべきか。みんなが平等に意見を出し、話し合いに参加できる仕組みをつくっていくために有効なのが、1枚1テーマでポストイットに懸案を書いてホワイトボードなどに貼り出し、意見をカテゴライズしていくやり方です。有名なところではKJ法などがありますが、分類の仕方や整理の仕方は、理に適っていれば好きな手法を使うと良いでしょう。
 こうすると、頭の中だけで整理するのではないので誤解を生みませんし、情報が全員の前で目に見えて整理されていくので、冷静な話し合いが可能になるのです。何より、地声が大きいからその人の意見が通るというような馬鹿馬鹿しい状況にはなりません。
 ただし、その際も、最も大事なのは話し合うポイントをあいまいにさせないことです。たとえば商品や売上の比較分析をする際、いいところだけを話し合うと落とし穴が生まれますし、悪いところだけだと雰囲気が暗くなってしまいます。両方を話し合うことが大事です。同時に、「目標設定 → 手段検討 → スケジューリング」 という流れにのっとり、いつ誰がどこで何をやるか、結果を報告する項目は何で、いつ報告するかまで決めてしまうこともお忘れなく。
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」
 
 会議で重要なのは、口頭で議論して終わりにさせないこと。そして、役割と報告を明確にすることです。報告を受けて協議すべき内容をきちんと公開し、会議中に思いつきの質問で 「追及」 する展開にならないようにしてください。世間一般で言われる会議は、意味をなさない 「怪議」 になっているものが少なくないと聞きます。大勢の時間を合わせる貴重な場ですので、ぜひ有益なものにしてくださいね。
 
 
 規模が大きくなれば、全社が一丸となることは難しいとイメージされがちです。しかし、工夫によって、常に団結した集団であり続けることは可能です。手前味噌な話ですが、武蔵野ではこのような工夫の積み重ねで、仕事をわかりやすく “見える化” し、年末には前年度比120%を超えることが少なくありません。決して難しいことではありません。ぜひ皆さんも試してみてください。
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.11全社一丸!勝利の"ホウレンソウ"
 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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