こんにちは、小山昇です。皆さん、夏バテなどはしていないですか? それにしても夏は暑いものと相場が決まっていますが、あまりに猛暑日が続くと体だけでなく心が疲れてしまいます。心が疲れてくると責任感がなくなり、とかく嫌なことから逃避する・・・そんな悪い人が目立ちますよね。それで暑さに輪をかけてイライラすることにも。そうならないように、夏こそ、どんなトラブルや問題でも爽快&明快に対応できるようにしておきたいものです。ということで、今回は 「どこの職場にもいる “困ったちゃん” 対策」。
【相談ケース17】 仕事を押し付ける無責任上司?
小山社長、こんにちは。実は私の上司のことで困っており、メールさせていただきました。その上司は、一言で言えば 「無責任上司」 でして、とにかく自分が早く帰りたいから、終業間際になると仕事を部下に押しつけまくるんです。信じられませんよね! こないだなんか、カレの誕生日にそれをやられて、ドタキャンしなきゃいけなくなって、すっかり気まずくなっちゃったし・・・。こういう上司、どう対処したらいいのでしょうか?(27歳 会社員・女性)
逃げようのない記録をとれ
なるほど、典型的な無責任上司ですね。下の者だけが損をするような不平等な体質の会社はそもそもおかしいのですが、安心してください、手はあります。
まず、あなたがすべきことは、きちんと記録をとること。その上司が、いつどのような仕事を押し付けて帰り、あなたがその作業をするためにどれだけの残業を強いられたか。それを一つひとつ克明に記録するのです。たとえば1ヶ月に20日間も不当残業が続いたことが証拠として残れば、誰がどう見てもおかしいということになりますよね。
まず記録を溜める。記録がある程度溜まってきたら、二段構えで報告をするのがベストでしょう。まず、当事者の上司に、「これだけの残業をしており、そのうちこれだけの割合の業務が終業間際にあなたから命令されたものです。業務内容は主にあなたの範疇のものだと思いますが、それを私が代行して、就業時間を大幅に超えています。どうすればいいですか?」 と報告するのです。
するとその上司はどうするでしょうか? 明らかに記録として残っているので、実際に調査されてしまったら自分がサボっていたことがわかってしまいます。まともに考えれば、あなたに仕事を押し付けることはできなくなりますよね。それが職場の抜本的な問題にはならないかもしれませんが、少なくともあなたとしての問題は解決されていくはずです。
これでも開き直るようであれば、二段目を発動。即座に彼の上司にあげればいいわけです。その後、彼がどうなっていくか、もうおわかりですよね?
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
愚痴や水掛け論だと、口が達者な人であればかわせてしまうので、言い逃れようのない証拠を持っておくことが大事です。証拠としての記録を突きつけると、その上司は、「コト」 の重大さを理解するでしょう。まず自分がやってきた 「コト」 がどれだけ部下に迷惑をかけ、追い詰めていくことなのかを、しっかり突きつけましょう。
【相談ケース18】 パートに頭が上がらない社員
小山社長、初めまして。実は私の職場で困ったことが起きています。弊社ではパートを多く雇用しているのですが、そのパートのリーダー格の女性が、おかしな権力を持ち始めているんです。最近、楽に仕事をするために社員の言うことを聞かなくなり、私が何か仕事をお願いしても理由をつけて断ってはサボる。そのうえ、私の上司にはいい顔をして、私が仕事をしていないかのように言いふらすんです・・・。何度か話もしましたが解決できず、パート全体が私の指示を聞かなくなりつつありまして。他のパートは彼女の存在が怖くて、なかなか逆らえないから、私につく人もいない。どうしたらいいか悩んでいます。(28歳 会社員・男性)
人事は常にルールから
なるほど、それは大きな問題ですね。実は株式会社武蔵野でも以前似たようなことがありました。はっきり言って、担当者一人でどうにかできるレベルではありませんので、ここは上司に素直に相談すべきではないでしょうか。
まず問題の本質は、獅子身中の虫を退治できない仕組みにあります。それは人事権がどこにあるかにも関わってきます。その人事権があなたにあれば話は早いのでしょうが、仮にあなたが彼女をクビにしてしまうと、他のパートへの悪影響が懸念されます。また、あなたの上司にパートたちの人事を委ねたとしても、いい顔をされて上司が籠絡されれば、ひとたまりもない。
ですので、武蔵野の場合は、パートの人事権について一つのルールをつくったのです。それは 「パート全体の50%が、そのパートと一緒に働きたくないと言ったら、会社を去ってもらう」 というルールです。社内のルールブックにも明記しており、新しいパートを採用する際にも、このことは必ず説明をしています。新しいパートは、試用期間の間に既存の各パートと面談をしてもらってジャッジメントしますし、古株のパートも、他のパートさんと定期面談をする中で 「あの人は嫌です」 という声が過半数を上回ったら、その時点で解雇。どんなに優秀な人でも、そのルールは絶対です。
そうするとね、人に気配りができるようになるんですよ。会社に自分の意見を伝えられる場もあるので、パートがおかしな結託をする必要もなく、派閥もできないのです。
ではここで、今回の 「小山昇の結論」。
パートは、会社の中ではいわば弱い立場です。ですので、自分の立場を守るため流されやすくもなります。またパートの皆さんは時給制ですので、同じ勤務時間の中で仕事が増えるのは基本的に受け入れません。仕事を増やすなら時給を上げてあげる必要があります。そんなふうに、弱い立場の人のメンタルを救うルールを、上司と相談なさるとよいでしょう。
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人事は 「じんじ」 と読みますが、読み方を変えれば 「ひとごと」 になってしまいます。問題を感じた当事者が、それを 「ひとごと」 にせず問題解決のために進む勇気が必要ですね。今回の相談ケースは、どちらも筋道を通したり、ルールを作ることで改善されていくであろうケースです。前向きに取り組んで、すっきりした気持ちでお盆休みを迎えてくださいね。
明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.9職場の"困ったちゃん"対策夏期講習
執筆者プロフィール
小山昇 Noboru Koyama
株式会社武蔵野 代表取締役社長
経 歴
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。
オフィシャルホームページ
http://koyamanoboru.jp