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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol..8 小山流ハラスメント対応術 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山昇です。いよいよ夏が近づいてきましたね。しかし、夏が来るということは、暑さでイライラする人が増えるということでもあります。イライラしたり不満があると、職場がよけいに暑苦しい雰囲気になってしまうし、同僚の仕事にも悪影響を与えかねません。クールビズをうたう企業は数あれど、会社の空気だけではなく、「人の心のクールビズ」 も大事なのです。ということで、心を軽くする工夫を考えたいものですね。さて、今回はこちらのお悩みからいってみましょう。
 
 
【相談ケース15】 どう考えてもパワハラ?
 
小山社長、はじめまして。最近、私、怒ってます。うちの職場、パワハラがあるんです! 先輩(女性)がやたら厳しくて、些細なミスにも 「本当にそこまで言う必要があるの?」 と思えるくらい・・・。あの先輩、絶対に私のことが嫌いなんですよ。というか、そもそも入社した時から私もあの人のことが嫌いですもん。もう本当にムカつく! すみません、愚痴っちゃって。やっぱり会社辞めたほうがいいのかな・・・。(23歳 会社員・女性)
 

パワハラの境界線を見極める

 
 かなりご立腹な様子ですね。ですが、ちょっと厳しかったらすぐにパワハラと考えるのはいかがなものでしょうか。あなたはまだ1年目ですよね。一年生を鍛えるために、先輩が愛のムチをふるっているとは考えられませんか?
 少し冷静になって、客観的に自分と先輩の関係を見つめてください。そもそもパワハラやセクハラなど、「ハラスメント」 と呼ばれるものの多くは、誰がしたかが問題です。あなたの彼氏が手を握ってきたらセクハラで訴えますか? 訴えないでしょう。でも、あなたが苦手な人が手を握ってきたら 「セクハラ!」 とか 「キモい!」 とか感じる。これはね、手を握ったという行為と、それを誰がしたかということを分け切れていないがゆえの過剰認識から起こることが大半です。
 子供が立ち入り禁止の場所で遊んでいると、親は子供を叱ります。なぜでしょうか? その子が危ないことをするとして、大きな危険が伴わないようにさせるためです。1分1秒でも早く、危険が及ばない安全な遊び方なり上手な遊び方の知恵をもたらしたい。だからこそ叱ります。あなたの場合はどうでしょうか? 早くあなたを一人前に育てたいという先輩の気持ちが感じられることはありませんか? 
 叱責は体罰とは異なりますが、言葉で拳を振るう側にも、痛みは伴います。心も痛みます。先輩があなたのことを嫌いだったら、わざわざ身も心も痛い思いをして、あなたに手を挙げるでしょうか。本当に嫌いだったら、放っておくと思いませんか?
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」
 
 パワハラという言葉は、マスコミが煽ったせいで一人歩きしてしまった感があります。「厳しい=パワハラ」 ではありません。厳しさの裏に愛情があるかないか。それがパワハラか否かを分ける決め手です。自分一人では話しにくければ、信用できる先輩に間を取り持ってもらって、直接話をしてみて、先輩の本音を探ってみてはいかがですか。
 
 
 
【相談ケース16】 憧れの先輩が邪魔者に?
 
こんにちは、小山社長。企業で新規開拓営業のセクションにいる者です。包み隠さずに書けば、最近、先輩からのいやがらせで悩んでいます。私は入社5年目、先輩は入社6年目で1期違い。ただ、先輩は不動のエースです。私は先輩に憧れて、彼から学べることは貪欲に学び、部署で2位の成績に食い込んでいけるようになりました。まだまだ先輩との差はありますが、やがて先輩を超えたいと思っています。ただ、その憧れの先輩が、最近私の足を引っ張るようなことをしはじめてきて・・・。正直ショックですし、その先輩との今後の関係を考えると、どうしたらいいかと悩んでいます。(29歳 会社員・男性)
 

失うことを恐れるな

 
 はっきり言いましょう。あなたがやるべきことは一つです。己を貫いて、その先輩を追い越してごらんなさい。つまり、あなたがいる営業部の次期エースに、あなた自身がなりなさい。
 あなたも薄々は気付いているのではないでしょうか。先輩があなたに抱いている感情は、嫉妬、ジェラシーです。自分に追い迫ってくる後輩に脅威を感じているのです。また、あなたの優秀さを上司も評価しているからこそ、あなたもナンバー2にまで上り詰めていけています。そうでなければ、「あいつを立たせるために、こいつは少し控えさせよう」 などと、よこしまな茶々が入るでしょう。つまり上司も、正当に競争させる場をつくっている。いい上司です。
 ですからあなたも遠慮することはありません。新しい時代をもたらすべきです。恐れることは何もないんですよ。新しいことをやると、必ず失うものがあります。だから多くの人がチャレンジを嫌がります。でも、実は新しいことを手がけて失うものよりも、得られるもののほうが多い。これは世の中の真理です。ある女性と別れたとしても、もっと素晴らしい女性と出会うかもしれないじゃないですか。失うことを恐れたら、そこで成長は止まります。
もちろん、あなたはもともと優秀な人材だったのでしょうが、その先輩というお手本があったからこそ、そこまで伸びていくことができました。彼がどう思おうと、その育ての恩を、手加減したり逃げたりという形で返すのは義理に欠けると思いませんか?
 先輩を見事追い越して、「あなたがいたからこそ、ここまでになれました!」 と胸を張って言えばいいじゃないですか。
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」
 
 出る杭は打たれる。よくそう言いますね。しかし、出ない杭は打たれない代わりに腐ります。打たれず、腐らず、どうすべきか。覚えておいてください。「出過ぎた杭は誰にも打てない」 ということを。同じ杭ならば、出過ぎるしか道はない。それを目指すことが成長というものですよ。
 
 
仕事で大事なのは、「コト」 に着目すること。怒られている、厳しくされているという感情的な部分に目を向けるのではなく、怒られている 「事柄」、指導されている 「事柄」 に目を向けてみてください。どうして自分はそう言われたのか。何が問題だったのか。それが見えてくると、上司や先輩の愛情に気付けることも出てくるでしょう。ではまた次回! 
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.8 小山流ハラスメント対応術
 

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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