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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.7  大事な部下の七五三 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山昇です。じめじめとした梅雨のシーズンですが、皆さん頑張って仕事をしていますか? 私は頑張らさせられています、うちの美人秘書たちに! いささか鍛えすぎて、逆に私がお尻を叩かれるようなことがあるものですから困ったもの(笑)。社員が成長するのは社長として喜ばしいことですし、世の多くの上司の方も同じではないでしょうか。ところが、この時期になると、新人たちの教育に戸惑う上司が多くなります。今回、そんな社員教育のお悩みが届いていますのでご紹介しましょう。
 
 
【相談ケース13】 上司なのにナメられてる?
 
小山社長、初めまして。この春に初めて部下を持つようになって新入社員も1名預かりました。将来的に彼のためになるような厳しい指導をしようと心がけてやってきました。ところが、新入社員の部下は不満ばかりをため込んで、だんだんと素直にならなくなってきています。私がナメられているのか、それとも指導方法が悪いのか。彼に不満をためさせずに上手に指導するにはどうしたらいいか悩んでいます。(30歳 会社員・男性)
 

不満とは成長の証である

 
 これと同じ問題に悩まされている人は少なくないでしょうね。このような状況に陥ったとき、問題の本質を見誤ってはいけません。大事なのは上司が社員の不満をどうコントロールするかではなく、その不満とどう向き合うかです。
 新入社員を育てるうえで気を付けなくてはいけないのは、彼らはまだ子供と同じであるということ。もちろん体は立派に育っていますし、自分の意思もありますので、あくまでも 「会社においては」 という意味ですよ。子供というのは常に成長していくもので、少し自分でいろいろできるようになると 「こうしたい、ああしたい」 と言い出すもの。親がダメだと言っても勝手に悪さをしたりね(笑)。それを無理やり止められると、「うちの父ちゃんは厳しすぎる」 とか不満を持つようになる。それと同じなのです。
 大事なのは、「成長したんだな」 と認めてあげることですね。不満を持つようになるということは自我の芽生えと同じですから、成長の証なんですよ。そのうえで、やりたいようにやらせればいい。新人があれこれしたいと言ったところで、大概失敗で終わるでしょう。ならば失敗をするという前提でやらせればいいんです。失敗したら、そのことに対して 「気付けてよかったじゃないか。一つ前進だな。何もやらないヤツは失敗すらできない。お前はちゃんと失敗して経験できている。素晴らしいことだよ」 と認めてやる。
 こうすると、その部下だって 「次は失敗しないように頑張ろう」 と思えるはずです。挑戦をはばんだり、不満をつぶすようなことをすることこそ、部下の成長につながらないのですね。
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」。
 
 不満は、あるほうが正しい。部下の不満に対しては、むしろ 「よく不満を持ってくれた」 と感謝してもいいくらいです。もちろん挑戦させて失敗したことに対し、是正していくのは上司の役目ですが、そこは言葉の言い方一つで彼らの意識も変わります。認めて、褒めて、背中を押してあげる言葉をかけてあげてくださいね。
 
 
 
【相談ケース14】 仲良し上司部下ってどうなの?
 
小山社長、いつもこのコラムを読んで勉強させていただいています。先日のご著書プレゼントにも応募させていただきました。私の悩みは、部下との関係の取り方です。今のところ、とても仲が良い、友人のような関係は築けているのですが、今ひとつ彼らが伸びて行っていないように感じます。私に上司として足りないところがあるのかどうか、自分ではわからないのです。社員とコミュニケーションをしっかり取られている小山社長は、人間関係を円滑に保ちつつ、どのように的確な指導をなさっているのか、教えてください。(34歳 会社員・女性)
 

「事なかれ」では指導できない

 
 まずはっきりと言えるのは、あなたの人間関係の作り方で一つ間違っているところがあります。それは 「友人のような関係」 というところですね。上司と部下はあくまでも上下ですから、友人ではありません。友人関係における仲の良さは心情の 「情」、つまり心の交流のことですが、上下関係においては、「情」 だけではなく 「事」 のやりとりのほうが重要なのです。
 たとえば部下が大きな勘違いをしていたとしましょう。友人であれば、関係にヒビを入れたくないために、その勘違いには触れないかもしれません。ところが上下関係となるとそうはいきません。「こうしないとあなたの仕事に支障が出る。もちろん上司の私にも会社にも不都合が出る。だから直しなさい」 とミッションを明確にして言わなくては、不利益が出てしまいます。「厳しいことを言って落ち込んでいる姿を見るとかわいそう」 という甘っちょろい上司も中にはいるでしょうが、本人が気付けないまま問題を放置していることほど残酷なことはないでしょう?
 ちなみに部下が間違っている場合の是正の方法で、有効なものが一つあります。それは、うまくいっていることを真似する意識を持たせること(ケーススタディ)。次に、それを体にしみこませるよう体験させること(ロールプレイング)。赤ちゃんが親の行動を真似ながら生活行動を覚えるのと同じだと考えればわかりやすいでしょう。漠然としたトモダチ上司ではなく、「事」 を示せる上司でありたいものです。
 
ではここで、今回の 「小山昇の結論」。
 
 部下を指導する際には、友達関係を排除してください。明確な目的をもって「事」に着目して指導しましょう。もっとも十人が十人とも同じように変化はしません。個人差はあります。なので、部下に合わせて指導するのが正解。オセロゲームのように一気にひっくり返ることはないので、一枚一枚、丁寧に黒を白に変えていく。そのための「上司の情」を持ってくださいね。
 
 
 社員にせよ、赤ちゃんにせよ、育っていけば七五三を迎えますね。不満や失敗は、彼らが七五三を迎えたようなものだとイメージするとわかりやすいし、歓迎する気持ちにもなるでしょう。失敗は成功の糧に、不満は成長の証にしていくことが大事なのです。もっとも、社員が立派に成長して社長に厳しくなりすぎると、ちょっと後悔してしまうかも。私のように(笑)。ではまた来月、お会いしましょう!
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.7 大事な部下の七五三

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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