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ノウハウ 明るい我らに仕事あり vol.6  5月の薫風はどこへゆく? 明るい我らに仕事あり 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山昇です。今年のゴールデンウイークは9連休の大型連休をとられた方も少なくなかったでしょう。連休が明け、なかなか社会復帰したがらない私のようなタイプの人もいるかもしれませんが(笑)、気を新たに頑張ってほしいもの。ただ、5月は迷いの季節でもあります。五月病にさいなまれてしまったり、連休中に自分の今後について深く考えすぎてしまったり。今回はそんな仕事と人生観の関わりにまつわるお悩みです。
 
 
【相談ケース11】 自分の限界を感じています
 
今の会社に勤めはじめて4年、正直言って、道に迷っている感じです。単なる五月病なのかもしれませんが、どうにも仕事への意欲が上がりません。今の会社は就職活動において第一希望ではありませんでしたが大きな会社で、同期も50人近くいます。でも同期は優秀な人ばかりで、僕はその中ではほとんど目立ちません。休日も努力して勉強したりはしていますが、周囲が優秀で、うだつがあがらなくて・・・。自分の限界を感じてしまっています。このまま今の会社にいていいのかどうか、自分に見合った仕事を探すべきなのでしょうか。(26歳 会社員・男性)
 

悩みは一生のお友達

 
 毎年この時期になると、自分自身のことを考えすぎて悩む若者を多く見ますね。ただ、五月病というわけではないでしょう。なにせ五月病は、新しい環境に適応できないから起こる症状ですので、入社4年目のあなたの問題は別にある気がします。
 同期が50人とは、規模の大きな会社にいらっしゃるようですね。確かにそれだけ人数がいれば自分より優秀な人がいてもおかしくないでしょう。ただ、その同期たちに追いつけないということは限界ではないと私は考えます。
 そもそも限界というのは、人間が成長していくにあたって、考えにくい障害です。極端な話をしますが、小学校1年生に高校1年生の数学問題を出して解けると思いますか? 解けるはずがありませんよね。小学校1年生には小学校1年生の算数問題が出されますし、高校1年生には高校1年生の問題が出されるはず。つまり、あなたの目の前には、あなた自身が解決できるだけの問題しかやってこない。人生とは案外そのようにうまくできているものなのです。
 あなたと同期の人たちとの実力差がどれだけかはわかりませんが、人間には得手不得手がありますし、何よりそのような評価は自分でくださず、上司にさせておけばいいではないですか。実際、お悩みの文面には実績や結果がどうということは出てこない。あなたが勝手になんとなく感じている劣等感でしょう? そんなものに振り回されるより、あなた自身は、まず目の前にあることをとにかくやり抜くことを考えてみてください。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
 
 人間の人生において、自分に越えられない悩みはやってきません。悩んでいることは、成長している証なのです。自分が成長できるチャンスから逃げるように仕事を変えてしまっては、チャンスの神様に嫌われてしまいますよ。悩みは一生のお友達。逃げたら死ぬまでついてきて後悔します。自分に見合った仕事を探す前に、自分の身の丈を素直に受け入れて、悩みと向き合ってみてください。
 
 
 
【相談ケース12】 部下のモチベーションの上げ方は?
 
小山社長、初めまして。いつもコラムを読んで勉強させていただいています。私事ですが、今年度から初めての管理職になりまして、直属の部下が数名つきました。彼らに対して高いモチベーションを与えるべく、試行錯誤しながらも、日々やってきています。しかし、そのうち一人の新人がどうしても他の部下より劣ってしまい、本人もそれを気にして、とうとう辞めると言い出してきました。自分で這い上がってくるべきだと考えていたので、あえて放っていたのがいけなかったかもしれません。慰留したところ、とりあえずしばらくは続けようと考え直したようですが、いつまた辞めると言い出すかわかりません。うまいモチベーションの上げ方はないでしょうか?(29歳 会社員・男性)
 

考えさせるな、走らせろ!

 
 モチベーションを上げるというと、よくありがちなのが褒めたり、啓発的な言葉を投げかけたり、大きな仕事を任せて責任感を持たせようとすることですね。しかし、会社を辞めるかどうか考えているほど落ちている状態であれば、まず大事なのは 「辞めるかどうか」 と考える余裕を与えないことです。
 余裕があると、人間、いろんなことを考えてしまいます。また、一人にするから人生を突き詰めて考えてしまう。学生時代だと、誰もそんなこと考えないのではないでしょうか。仲間と酒を飲んで、麻雀だのコンパだの、サークル活動だの、遊びとはいえ忙しく過ごしているから、そんな大層なことを考えるヒマがないのです。
  ちなみに、武蔵野では、新人時代に余計なことを考える時間は一切ありません。4月に入社すると、いきなりキャンペーンが始まり、2ヶ月ロングランで競争させ続けます。ヨーイドンで全力ダッシュをさせられるわけですね。彼らは全力で必死にもがき、とにかく余裕がありませんから、「同期には負けたくない」 としか考えられません。つまり、「会社を辞める」 というところまで発想が及ばないのです。
 こうした余裕を奪い取るところから始めてみるのは、案外一つの手ですよ。
 
ではここで、今回の「小山昇の結論」。
 
 あなたは 「自分で這い上がってくるべきだ」 と考えて、その部下を一人にしたのでしょうが、あなたの考え方そのものではなく、一人にしたということがまずいでしょう。とにかく彼に役割を与え、全力で走らせ、それからさらにモチベーションを上げる方策をとってみてください。全力で走っていると、ランナーズハイのように、自然とモチベーションは回復するはずです。


 
 人間誰でもモチベーションが下がったり、考えすぎたりすることはあるものです。でも、そこから逃げてしまうと何も始まりませんね。時には他者が力づくでも本人のために不必要なことを考えさせないよう仕向けてあげることも重要です。かく言う私も、こっそり飲みに逃げようとすると、コワ~い秘書に講演や取材の予定を入れられて・・・いやいや、こちらの話です(笑)。ではまた来月! 
 
 
 
 
 明るい我らに仕事あり ~お悩みビジネスパーソンの駆け込み寺~
vol.6 5月の薫風はどこへゆく?

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 オフィシャルホームページ 

http://koyamanoboru.jp

 
 
 
 

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