B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

トピックスTOPICS

ノウハウ 自ら働き、自ずから楽しむ vol.12 愛すべき呑兵衛たちとの日々 自ら働き、自ずから楽しむ 株式会社武蔵野 代表取締役社長

ノウハウ
 
 こんにちは、小山です。早いもので、今年ももう11月。残すところ6分の1です。11月ともなれば、年末に向けて様々な調整が行われていきますね。まさに年内の総決算時期というわけです。また年末になってくると、何かと飲む機会も増えるもの。そこで、今回は年末に向けた “武蔵野流飲みニケーション秘話” を少しだけご紹介しましょう。
 
 

毎月末が年末の武蔵野

 
 自分で言うのもなんですが、武蔵野ほど、社員がよく集まって飲む会社はないのではないでしょうか。兎にも角にも酒がある。1ヶ月で10回以上飲みに行くなんてよくある話なんです。だから、武蔵野には忘年会というものがありません。毎月末が年末のようなものだから、わざわざ忘年会をする必要がないのです(笑)。
 どうしてそんなに数多く飲むのか? それは会社で飲み会を義務づけていることも大きな理由の一つ。まず、入社する際に 「お酒が飲めない」 「お酒を飲みに行くのは好きじゃない」 という応募者がいたら、それだけで不合格になります。仮に課長という立場であれば、最低でも部門懇親会を月に一度、事業部ごとのグループ懇親会も月に一度、上司との対談飲み会も一度と、最低月3回は 「公式飲み会」 をするように会社の規定で定められており、もしやらないと始末書を書くハメになってしまうのです。いずれにせよ、部下を持っている人は、部下を誘って飲みに行く回数が少ないと、警告から、ひどければ更迭されてしまいますから。
 それ以外に非公式での飲み会なんかは、どこかしこで毎日のように催されているので、人によっては 「多くて週に5日、1ヶ月で言うと・・・14~5日飲む月もありますね」 というほどに、愛すべき呑兵衛たちの集団なのですね(笑)。 
 
 

よく飲むヤツほど出世する

 
 そんな呑兵衛たちを長年観察していると、わかってくることがあります。それは 「よく飲む人ほど、よく出世する」 ということ。それにはれっきとした理由があります。なぜならば、飲むと人はよく話すようになり、人の情報を多く仕入れることになります。飲みニケーションとはよく言ったものですが、コミュニケーションの原点は人と人が顔を突き合わせて会話をすることでしょう? そこにお酒が入ると、潤滑油となってコミュニケーションを深めてくれるわけで、相互理解が高い人とそうではない人、どちらのほうが仕事において差が出るかは、言うまでもありませんよね。
 実際に、仕事においても、このコミュニケーションの深さは如実に結果に表れてきます。たとえばメール一つとっても、仲がいい人のメールはできるだけ早く返す傾向にあり、それほど仲が深くない人のメールは返すのに時間がかかったり、ときには返さないということも起こりえる。メールの内容が業務に関係するものであっても、こうした人間心理は必ず影響してくるものなのです。
 武蔵野の業績が常に上向いている理由の一つとして、このコミュニケーション深度は大きく影響していると私は感じています。社員全員が懇親会を楽しみにしており(そもそもお酒や飲み会が嫌いな人は入社してこないので)、飲み会の日程確保が第一、次に飲み会をさけて仕事のスケジューリングをする(笑)。社長からしてそうなのだから、社員は意気揚々と飲み会の予定を手帳に書き込んでいますよ(笑)。
 
 

説教する上司とは飲みたくない

 
 「そんなこと言っても小山さん、最近の若い連中は、飲まない人が多いし、誘ってもついてこないから行きようがないよ」
 おやおや、それは困りましたね。何が困っているかというと、そんなことをボヤいてしまっている人がいるということに。なぜ誘っても来てくれないか? 理由は簡単すぎるほど簡単です。「おもしろくないから」 です。お酒は楽しく飲むもの。それは万人が理解していることですよね。でも、仕事関係の若手と飲みに行くときに、説教したりしてませんか? 昔の手柄話を延々と話し続けていませんか? しているでしょう? そんなことでは絶対に人は飲み会になどついてきてくれはしません! 誰もそんなこと聞きたくないんですから。
 私も飲むのは好きで、年に4回、「社長と飲み歩き会」 という日を作っています。夕方17時半から深夜0時まで6時間半、社長と一緒に飲むのです。一般的に考えると息が詰まりそうなほど長い時間ですよね。でも、ありがたいことに多くのエントリーが来ます。なぜならば、私はその飲み会の席で説教したり、講釈をたれるような真似は一度たりともしたことがありません。ずっと聞いている側。ひとり3つまで質問を持ってきてもらい、私がそれに応えたり、みんなでにぎやかに議論したりする。ネタはなんでもいいんです。仕事の話じゃなくてもです。とにかく、社員たちに話をさせ、おもしろければ笑い、ただひたすら聞いている。彼らも 「社長、ちょっと聞いてくださいよ」 と話をしてくる。その証拠写真は武蔵野のホームページでアップしていますから、お時間がある方は見てみてください。明らかに 「楽しい飲み会」 という雰囲気が伝わってくるはずですから。
 
 

武蔵野社員旅行・宴会伝説

 
 飲み会は楽しくなければいけない。仕事も会社も楽しくなければいけない。それは、「人」 という線で結ばれます。人が楽しく飲める人間関係ができる会社は、仕事が楽しくできる会社なんです。
 その集大成として、私たちが気合いを入れて臨んでいるのが社員旅行。武蔵野の社員旅行では、旅館の大広間の畳がずれます。人が飛んできます。そう、ハチャメチャにはしゃぐのです。だから宴会の際にはビニールシートを持ち込んで、畳が濡れないようにしたり、金屏風や置物を一切撤去してもらいます(笑)。 席次はくじ引きで決め、自分が座った座布団の下に「社長」と書かれたカードがあれば、その宴会ではその人が社長役。飲み会の前に “社長” としてあいさつをしなくちゃいけません(笑)。
 どうです? 楽しいでしょう? くだらないことに思えるかもしれませんが、こうした遊び心や、とことん飲みニケーションを楽しんでやろうという気概が、武蔵野を一致団結させていることは間違いないのです。
 
 
 
 自ら働き、自ずから楽しむ ~小山昇・独自経営の哲学~
第12回 愛すべき呑兵衛たちとの日々

 執筆者プロフィール  

小山昇 Noboru Koyama

株式会社武蔵野 代表取締役社長

 経 歴  

1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業。1964年に日本サービスマーチャンダイザー(株)を設立し、ダスキンの都内加盟店第一号となる。1987年、(株)武蔵野に社名を変更。以来、元暴走族の社員を抱え「おちこぼれ会社」と揶揄されていた同社を優良企業に育て上げ、2000年には(財)日本生産性本部より「日本経営品質賞」を受賞した。他にもダスキン顧問(1990~1992年)、また全国の経営者でつくる「経営研究会」も主催し、ビジネスの世界におけるメッセンジャー的な役割を担う。現在は社長業と並行して日本経営品質賞受賞の軌跡や中小企業のIT戦略、経営計画書づくり、実践経営塾などをテーマに年間240回以上のセミナーで全国を回り、テレビを含め各メディアからも注目を集めている。

 
 
 
 

関連記事

最新トピックス記事

カテゴリ

バックナンバー

コラムニスト一覧

最新記事

話題の記事