B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

楽しいことだけ、猛烈にやれ!
日本一の応援団長の熱きメッセージ

 
――B-plusはビジネスパーソンたちへの応援が大きなテーマです。寛斎さんにも応援団気質があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
 
091001_spi0005_d05.jpg
 最近感動したのはですね・・・世界陸上の女子マラソン。1位から3位が競って、終盤で日本の尾崎選手が中国の選手に敗れて2位になったんですが、死力を尽くしてがんばっている人を見てるとね、感動するんですよ。それが何位であっても。かなり前の話になりますが、オランダの女性のマラソン選手が、体をくの字に折りながら、最下位でゴールした大会があったんです。1位の選手のことはもう誰も覚えていないかもしれない。でも、彼女のことは、見た人は世界中の皆が覚えていると思いますよ。
 そうやって最後まで諦めずに頑張る人を見ると、私は泣いちゃうんです。不屈の精神で、全身全霊を傾けて何かに挑む姿というのは、世界中が理解する感動じゃないかと思います。テレビで見てても泣いちゃいます。家族がいるときは、恥ずかしいからこう、横を向いてね(笑)。 自分でもよく泣くと思いますねえ。ですから応援団気質というのは、あるかもしれないです。
 
 今はほとんどの若者が、大声を出すことも全力で走ることも知らずに生きています。社会や学校が「あれするな、これするな」と育てるから。私に言わせれば、かわいそうもいいとこですよ。
 先日の招致イベントでも、当日、ボランティアの学生たちに気合が足らんという話になったんです。それで私は会場に到着するや否や彼らを集めて、声出しの練習をしました。こちらが「ソイヤーッ!」といって、彼らに「ハイッ!!」と答えさせる。すると彼らは変わるんです。気合が出てくる。良くなれば誉めます。誉められると自信が付きますよね。それで本番になったら、観客でいらした中国人の上海万博の関係者が、「寛斎のボランティアは皆気合が入っとるね」と感心してるんですよ。全然逆じゃない、ね(笑)。 そうやって変われるエネルギーを自分たちは持ってるんだということを、我々大人が、教えないといけないと思ってます。
 東京オリンピックのことも、税金を使われるのが嫌だとかもったいないとかで反対する人がいるでしょう。でも考えてみてください。もしそれだけなら、なぜこんなに世界中の都市が、立候補して競いますか。オリンピックは、お金は確かにかかるにせよ、国民が皆で奮い立つことのできる最高の目標でしょう。夢になりうると思いますよ。特に私は、自分の年齢では普通は付き合わないような10代の子どもたちとも組みますから、そういったことを彼らにちゃんと教えたいと思うし、夢を持たせたいと思うんです。
 
 
 
 

仕事と思うな!好きなことしかやるな!
楽しいことならいくらでも頑張れる!

 
――「仕事を楽しむ」というテーマについても、読者に向けてお考えをいただけますか。
 
091001_spi0005_d06.jpg
 「好きなことしかやるな!」と言いたいです。「仕事と思うな!」ということですよ。
 仕事と思うと辛いよね。私もそういう時間を持ったことがあります。どういう体験かというとね、40年以上前、大学を退学してファッションの修業でお針子をやってた頃、あまりに食べられなくて、印刷に失敗した屑紙を精製する工場に日雇いで働きに行ったんです。日当は1000円そこそこ。働いているのは刑務所帰りみたいな人たちばかり。そうするとね、早く昼休みにならんかなあ、ほっとしたいなあと、そんな気持ちで働いてるんですよ。完全に仕事ですよね。それじゃ駄目ですよ。だから楽しいことをしなさい。
 
 私は、自分のやっていることの本質は何と思ってるかといいますと、前例のないことをやって、人を猛烈に喜ばせる、その笑顔を見るのが私の最大の喜びになる。これです。
 そのためには、しかるべきお金が必要です。資金がたくさんあれば、よりすごいことができると思って、これまでは規模への挑戦ということをずっとやってきました。
 ところが、北京オリンピックの開会式を見て以来、逆の方向に進んでみたいと思うようになりました。つまり、もっと工夫して、「こんな面白いことが、こんな安い金額でできちゃうの?」というお祭りをやってみようと思ったわけです。
 それと重なるのがボランティアですね。私のショウは多い時で3000名くらい、先日も何百名というボランティアが集まりました。あんな元気のいい子たちをさらに集めて、もっと面白いことをやってみたいなと思ってます。
 
091001_spi0005_ex03.jpg

2009年「勝つぞっ」。巨大映像と熱気球が招致の気運を盛り上げた。

 5月のバリ島のショウと先日の招致を応援するイベントでその思いを実現させました。演出を組み立てるときはね、頭の中で、始まってから終わるまでの要所要所に「これは勝つな!」というシーンをあらかじめ配置しちゃうんです。まず最初にフック! 「ほんとに面白いの?」と考えているのをいきなり、体ごと脳みそをガーンと連れ込んじゃう。そのままグワーッと振り回して、15分後くらいに逆さ落とし! そのままぶんぶん振り回して、夢中にさせている間に終わる。そういう山場を作っちゃう。
 
 
 
 
――先日の招致イベントでも、演出が変わるたびに観客の子どもが大喜びしていました。
 
 そうやって共感してもらえるというのはね、子どもであろうとご老人であろうと、年齢と関係なく、楽しいことが好きだっていう、それが人間なんでしょう。プラス型のエネルギーが好きなんですよ、みんな。私のやっていることは全部、人に楽しんでもらう、喜んでもらう。それが目標です。
 今それがどれくらいまでできたかといったら、全体の70%だと思ってます。あと30%残っているので、今後、それをどんなカタチにしていくか。今日もね、この取材が終わったら、スタッフと一緒に次のイベントの会議ですよ。
 
 
(インタビュー・文 筒井秀礼 / 写真 大木真明)
 
 
091001_spi0005_ex04.jpg

インタビューの後、バリから贈られてきた
お守りの像と一緒にポーズを決める寛斎氏。
世界を旅した先々で現地の人と親交を結べる
のは、心の熱が相手に届くからだ。

山本寛斎オフィシャルサイト  http://www.kansai-inc.co.jp/
      オフィシャルブログ  http://blogs.yahoo.co.jp/kansai_office/
      著書 「熱き心 寛斎の熱血語10カ条」 2008年/PHP新書 
 

 

スペシャルインタビュー ランキング