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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

リユースの業態をオートバイ市場に確立
時代に先駆けたエネルギーとスピリッツ

 

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 その1週間の間に、かかってきた電話の住所を、パズルのように組み合わせていくのです。そして2t車のトラックを借りて、空荷の状態で東京を出発。名古屋で1台買い、岐阜で1台買い、大阪・神戸で1台ずつ買って、京都で1泊して帰ってくる。帰ってくるときには8台、積み荷は満載です。東北もしかりです。週に2便、4日間くらいは旅でした。きつかったですけれど、懐かしい思い出です。

 そんな右肩上がりの状態ですから、無謀ともいえるような夢をいつも語っていました。全国に多店舗展開するという考えは、根拠も何もなかったのですが、明確に持っていましたね。そうなると何百人もの社員が必要になる。その社員をまとめるためには、自社ビルがいるな、とか。今は自社ビルというのははやりませんが、当時は、自社ビルを持つのがステータスです。それぐらいの目標は話していました。
 石川は私とはキャラが違い、むしろ正反対。役割分担ができているんです。私が戦略を組むタイプで、石川がしっかり管理をするタイプ。二人だからできるいろいろな手法で目標を実現してきました。

 

 

パーツ販売、パーキングなど、これからの可能性

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――バイク王では、買い取ったオートバイは地方の拠点ですぐに修理し、2日に1回のペースでオークション会社に引き渡す。在庫は一切抱えないシステムだ。特注部品で改造されたオートバイは、部品を通常のものに交換して引き渡す。その際に出た特注パーツは直営のパーツ店で販売する。商材がスムーズに循環する、無駄のないシステムだ。ここ数年のエコブームにのり、オートバイをリサイクル・リユースする人が増えているのも大きな強みだ。毎日1000件以上の電話がかかり、成約率は約85%にも達している。

 パーツの小売りやパークビジネスに関しても、もともと興味を持っていました。オートバイに関することはすべてやりたいと思っていましたから。ただ、この業界は仕入れのイニシアティブを取った者が勝ちます。中古ビジネスの根幹は仕入れ。すべてがそこにかかっていますから、まずは仕入れのイニシアティブを確立することにエネルギーを集中していました。パーツの小売りやパークビジネスに関しては、構想を温めていたというのが本音ですね。
 創業して15年。取り扱う台数もシェアもかなりのものになってきて、バイク王というブランドも揺るぎないものになってきました。人材も資金も集まるようになって、そこでそろそろ、新しい事業をということで始めたのです。
 とはいえ、この不況で、われわれを取り巻く状況も厳しいものになってきています。

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 ただ、新車販売市場が低迷する中で、うちは出品台数も成約台数も伸びています。オークションで買う人の1台の価格が下がっているものの、この不景気の中でも順調です。バランスシートがきれいなので、投資家の方々からも評価をいただいています。心配なのは、中古オートバイは5年後~10年後に市場に出てくること。新車の売上げ台数が下がれば、そのぶん、将来的にどうなるかな、という思いもあります。
 いっぽうで、ライダーの数が増えているのは、とてもいい材料です。少子高齢化が叫ばれる中で団塊の世代がリタイアし、「これからやりたい趣味」のアンケートなどで上位に挙がるのがオートバイなのです。この世代は富裕層なんですね。
 日本にはオートバイの4大メーカー、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキがあります。この4社で世界のオートバイのソフト、ハード面を支えているといってもいい。メーカーはこれまで、海外市場で販売台数を伸ばしていたのですが、今後は国内向けに高価格帯のオートバイを販売していく計画のようです。そこに未来を見ることができます。
 さらにいうと、女性のライダーが増えてきています。原オートバイだけではなく、125㏄以上のオートバイに目を向け始めています。「自動変速で敷居が低い、足を揃えて乗れるのでファッションが楽しめる、荷物もたくさん入る、重装備で乗車しなくていい」などの理由からビッグスクーターに人気が集まっているのです。
 オートバイのオートマ免許が普及し、高速道路も2人乗りが解禁されるなど、規制緩和も進んでいます。およそ今までオートバイ業界が獲得できなかった消費者層を獲得できるようになってきているんです。まだまだニッチなところがたくさんある。いい風が吹いてきていると思っています。オートバイの海外輸出、パーツ、レンタル、用品取り扱いなどのチャンスもたくさんある。やりたいことがいっぱいありすぎて、何から手をつけていこうか、優先順位を考えているところです。

 

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