鈴木アシュラフの駅そば行脚 File.29
「年越しそば」も、「年明けそば」も ~成田駅「成田駅そば」~
JR成田駅東口脇にある駅そば店「成田駅そば」は、立ち食い席と座席を豊富に用意し、ビジネスマンから買い物客まで様々なニーズに応えている店である。この店のそばでとりわけ印象的なのは、「香りのハーモニー」だ。この店では、すべてのメニューに柚子皮を細かく刻んだものをトッピングしているため、清涼感のある香りが丼全体に広がる。写真のかき揚げそばは、野菜かき揚げの香ばしさとネギの辛み、そして柚子皮の上品な酸味が豊かなハーモニーを奏でる。さりげなく添えられたわかめの食感も、いいアクセントになっている。出汁の香りがツンと鼻を突くつゆも、うまく全体のバランスを整えている。
正月には、成田山新勝寺へ初詣に出かける人も多いだろう。この店は年末年始も休まずに営業しているので、成田山詣での行き帰りに寄るのも一興だ。成田山を詣でて心身を清め、一杯のそばで香りのハーモニーを楽しむ。爽やかな正月を演出するには、実に絶好の店である。
2006年オープンの新しい店には清潔感が溢れる
かき揚げそば(450円)。柚子皮の香りが食欲をそそる
執筆者プロフィール
鈴木 アシュラフ 弘毅(すずき・あしゅらふ・ひろき)
プロフィール 1973年、埼玉県生まれ。中央大学文学部卒業。小学生時代から一人で暖簾をくぐっていた、筋金入りの駅そば好き。これまでに巡った店は、1200軒以上。「美味い・早い・安い」のみならず、地域や店舗ごとに個性を発揮している駅そばは、没個性の世の中に一陣の風を吹き込む存在であると考え、日夜を問わず全国を駆け巡る。著書に、『「駅そば」読本』(交通新聞社)がある。



