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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

毛細血管のように大切な
配管で船の安全を守る!

 

危険な世界に安全な場所をつくる尊い仕事

 
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宍戸 業務内容について詳しく教えてください。造船の中でも配管を得意とされているとのことでしたね。
 
竹内 ええ、船舶内のキッチンやお風呂、トイレなど水回りの配管のほか、空調関係もすべて行います。
 
宍戸 配管とは、人間でいう毛細血管みたいなものですよね。例えば可燃物を運ぶ石油タンカーなら、万一の事故を防ぐために電気系統の配線にも気を配らなければいけません。また水の配管は、乗組員にとっては文字通りライフラインでしょう。
 
竹内 おっしゃる通りで、船という密閉空間だと配管は特に重要なんです。船内で火を使えないので料理も蒸気の熱で行いますし、空調も市販のエアコンとは違って冷たい水を循環させて空冷する方式が採用されることもあります。だから、陸上の家やビルに比べると配管が本当に重要で、使用されるパイプの数も一隻で何万本にもなるんです。
 
宍戸 それだけ複雑な構造になっているとは知らなかった! 技術の粋が集まっているから、あんなに大きな船でも沈まずに航海できるんですね。以前から、「鉄の塊がなぜ沈まない? あるいは、どうしてタイタニックは沈没した?」と疑問だったんです(笑)。
 
竹内 船が沈まないのは二重底になっていることと、水の侵入を防げるように仕切りを設けていることが大きいでしょうね。船底が破損して海水が流入しても、船内全体に水が行き渡らない構造になっているんです。こうした構造は、タイタニックの悲劇を教訓に始まったんですよ。
 
宍戸 なるほど、失敗から学んで船の構造が変化したというわけですか。少し前の韓国で、悲惨な海難事故が起きました。あれは船の重量バランスが問題だったといわれていますよね。
 
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竹内 あれは積載量を基準より増やしたことで船が頭でっかちになり、それで転覆したといわれていますね。水に浮かぶ以上、船にとっては船体の傾きの調整は非常に重要で、現代の船はフィンスタビライザーなどの装置で、コンピュータ制御によって船体の傾きのバランスが取れるようになっているんですよ。
 
宍戸 サーフボードのフィンですね! 規模は違いますけれど(笑)。
 
竹内 さすが、宍戸さんは船にお詳しいですね!
 
宍戸 それはサーフィンで海の怖さを理解しているからでしょう。海は本来、人がいてはいけない世界なんだと、いつも考えているんです。だから使命感をもって、常に危険と隣り合わせの世界で「安全な場所」をつくる竹内社長をとても尊敬します。