
インタビュアー 狩野恵輔(野球解説者)
小嶋 私はもともと使命感や感受性が強いタイプで、家族のために仕事にのめりこんだ結果、離婚を経験し、大きな喪失感と絶望感を味わいました。そんな時、ある本に偶然出合い、人生が変わったんです。「あらゆることは思いが先で、思った通りになっている」「今この瞬間が完璧である」という内容で、当時、人生のどん底だった私は強い衝撃を受けました。「そんなわけない」と思いつつ、「今この瞬間が完璧で最高」と呟こうとするものの、どうしてもそのように思えず「無理だ、できない!」と、絶望に打ちひしがれ、涙がとまらなくなってしまったんです。諦めそうになりながら、それでも暗示をかけるように「今この瞬間が完璧で最高」と嗚咽しながら呟き続けてみました。すると、もう一人の自分の意識があることに気付いたんです。その結果「僕の人生は僕が選んで、やりたいようにやってきたんだ。それなら最高なのでは?」と別の視点から捉えられる感覚が芽生えました。

小嶋 狩野さんは心の奥で実はやってみたいと思っていることってありませんか? 私の場合、昔マンガで見た河原での発声練習に密かに憧れていたんですよ。ある時「やらないままでいるよりはやってみよう」と思い立ったものの、いざとなると、周りの目が気になりなかなか実行できない。勇気を振り絞って大きな声を出してみたら、周囲は驚くほど無反応でした(笑)。その瞬間に「自分は何を恐れていたんだろう」と笑ってしまいましたね。
狩野 そこでまた新しい扉が開いたわけですか。