約50年にわたって皮革の染色や加工の仕事を手がけているのは、東京都墨田区にある有限会社T.M.Y's(ティーエムワイズ)の代表取締役である渡邊守夫氏だ。祖父の代から革の染色を生業とする渡邊社長は、一枚ごとに色味が微妙に異なり、どれ一つとしてまったく同じには仕上がらないという革の魅力に取りつかれたと語る。そんな革の良さや文化を広く伝えたいと新たな挑戦を続ける渡邊社長に、仕事への熱い思いを聞いた。
長い歴史を誇る皮革の染色・加工業

インタビュアー 鈴木尚広(野球解説者)
渡邊 はい。この事業は、1923年に祖父が墨田区本所で創業しました。それから父の代に葛飾区に移転したのち、2005年にこの墨田区東墨田で、私を含む兄弟3人と弊社を設立したんです。T.M.Y'sという社名も、3人の兄弟それぞれのアルファベットの頭文字から付けたものなんですよ。そして現在は、私が代表を務めています。
鈴木 なるほど。約100年もの長い歴史があるんですね。渡邊社長のご経歴もぜひお聞かせください。
渡邊 私は今年2020年で68歳になります。この仕事を始めてから、もう50年近く経ちますね。もともとは音楽が好きで、社会人の第一歩は音楽関係の会社に入社しました。ただ、その後すぐに家業に就くことになり、それ以来ずっと革の魅力に取り憑かれているんです。
鈴木 渡邊社長の思う、革の魅力とはなんでしょうか?
渡邊 一枚一枚、個性が違うところですね。同じ染料で染色しても、すべてがまったく同じ色にはなりません。100枚染めたら100枚とも、どれも微妙に色味が異なるんですよ。そんな、さまざまな色や染まり方をする革を日々研究し、より良いものをつくろうと試行錯誤することが、この仕事のおもしろさですね。
鈴木 私も革の魅力をもっと知りたくなりました。より詳しくお話をうかがっていきたいと思います!