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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

鳶も溶接もお任せを!
多能工が建設業界を変革

 

建設業界のトータルパートナーとして展開

 
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内山 いざ独立してみて、いかがでしたか?
 
中村 やりがいがある反面、雇われていたときと比べると責任の重さがまったく違いましたね。そもそも当時の私の中には、自分が動かずに人を使えば、それだけ儲かると勘違いした部分もあったんですよ(笑)。そんな考えだったため、一気に7人の職人に辞められたこともありました。経営の知識がまったくなく、自分の給料さえ払えない時期もあり、独立は甘いものではないと痛感することばかりでしたね。
 
内山 それでも業績を伸ばし、無事に法人化できたのは見事ですよ。
 
中村 ありがとうございます。姿勢をあらためた今の私についてきてくれる職人が、4人まで増えました。そこで、社会保険など福利厚生を充実させて働きやすい環境を実現し、自分自身も先を見据えた活動をするため、2020年1月に弊社を設立したんです。
 
内山 鳶にもさまざまな職種があると思います。御社では、具体的にどのような工事をしていらっしゃるのでしょう?
 
中村 弊社は足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶などの施工ができるほか、溶接などの関連工事もお引き受けできます。私は、これらすべてに対応できる多能工こそ、本来の鳶職人だと思っていますし、そもそも自分が「できません」と言うのが大嫌いな性格なんですよ。ですから弊社は建設業全般に視野を広げ、あらゆる工事を任せていただける業界のトータルパートナーとして事業を展開しているところです。
 
内山 頼もしいですね! ただ、仕事の範囲が広がれば広がるほど安全面の確保が重要になるでしょう。中村社長が、スタッフの皆さんをどのように守っているのか、ぜひうかがいたいです。
 
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中村 言うまでもなく「絶対にケガをしない、させない」という安全第一の指導は徹底していますよ。それはもう、スタッフから「うるさい」と言われるほどです(笑)。「これでいいだろう」と甘い判断で工事を続けると、事故につながりかねませんからね。ですから私は「作業をやめる勇気も必要だ」とスタッフに伝え、絶対に無理はさせないことをポリシーにしているんです。
 
内山 工事を納期に間に合わせて進めることは大切です。しかし、命より大事なものはありません。
 
中村 内山さんのおっしゃるとおりですよ。例えば「それほど高所でもないし、作業もすぐ終わるから」と思うような現場でも、必ず命綱の装着を徹底しています。
 
内山 万が一のことがあると、悲しむのは職人さんのご家族ですものね。
 
中村 本当にそうですね。家族を養うために、働いているという人も多いでしょう。だからこそ、安全を徹底するのはもちろんのこと、私は利益を全員で分配するなど、スタッフとそのご家族の生活を支えているという責任は常に忘れないよう気を付けています。