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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

北海道産スペルト小麦で
風味豊かな焼き菓子を!

 

品種改良をしていない古代小麦の味わい

 
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吉井 大山代表がつくりたくなった“味の強いお菓子”とは、具体的にどのようなものなのでしょう。
 
大山 最近の洋菓子は甘さが表面的で、味の印象が残らないものばかり評価されているような気がします。しかし、私は素材本来の味をしっかりと感じられ、後味に甘さの余韻を楽しめるようなお菓子をつくりたかったんですよ。
 
吉井 なるほど。本格志向のパンは、小麦の風味を楽しめるものが多いように思います。それと同じおいしさを、焼き菓子で表現しようというわけですね。
 
大山 おっしゃるとおりです。そこで私は、まずスペルト小麦を使ったバニラクッキーを試作しました。有名シェフに「納得の味だ」と評価され、次に和菓子の乳香をタルト風につくってみたんです。こちらも有名ホテルのペイストリー・シェフに味見していただいたところ、「スペルト小麦に、こんな使い方があったのか」と驚かれたんですよ。
 
吉井 ますますスペルト小麦が気になってきました。どういうものなのか、詳しく教えてください。
 
大山 現在、市場に流通している小麦の多くは品種改良を重ねたものです。しかしスペルト小麦は、ほぼ改良していない、昔ながらの古代小麦なんですよ。日本では北海道や滋賀県など4ヶ所しか産地がない、希少な小麦と言えます。
 
吉井 お菓子にしたときの味わいは、やはり、通常の小麦と違うのでしょうか?
 
「煙突フィナンシェ」「カステラローズ」など3種を販売中
「煙突フィナンシェ」「カステラローズ」など3種を販売中
大山 一般的な小麦は実を軟らかく改良してあり、この小麦粉でお菓子を焼くと、ふっくらとボリューミーに仕上がります。ところがスペルト小麦は実がとても硬く、粉にすると水分をたっぷり抱えてグルテンを形成しやすい特徴があるんです。そのためスペルト小麦の粉でお菓子を焼くと、ずっしり身が詰まったような食感になります。密度の高いしっかりとした味わいで、飽きの来ないおいしさを楽しめるんですよ。また、スペルト小麦のお菓子は日持ちがいいのも特長ですね。
 
吉井 へぇ! 何日くらい持つのでしょう。
 
大山 当店の焼き菓子は、念のため賞味期限を製造から1週間後に設定しています。しかし本来、スペルト小麦のお菓子は日が経つにつれ味わいが増していくので、実は焼き上げて2~3週間ほど経った頃が、一番おいしく食べられるんですよ。
 
吉井 長持ちするだけでなく、置いておくだけでさらにおいしくなるのは嬉しいですね!