家族一丸となって困難を乗り越えた

インタビュアー タージン(タレント)
中西 弊社は1952年に私の祖父が創業した会社で、私は大学卒業後に入社しました。もともと私は後を継ぐ気はなかったんです。しかし、大学を卒業したのが就職氷河期の時代で、なかなかやりがいを感じる就職先が見つかりませんでした。ちょうどその頃、弊社に勤めていた職人が定年退職することになり、2代目である父が私に声をかけたわけです。
タージン なるほど。家業でいらっしゃったということは、お仕事には早くから慣れたんでしょうか?
中西 子どもの頃から仕事の現場を見て育ったので、理解はしているつもりでした。ところが、この仕事は非常に専門的な作業が多いんです。ただ見ているのと、実際にしてみるのとではまったく違うのだと、入社してから思い知りましたね。私が一通りの仕事を覚えるまで、実に5年の歳月が必要でした。
タージン ご自身が考えていたよりも家業が奥深いものだと、あらためて知ったんですね。そんな中西社長が、3代目に就任したきっかけはなんだったのでしょう?
中西 2009年、私が28歳のときに突然、父が他界してしまったんです。そこですぐに私が後を継ぐことになりました。父の死は本当に急で、私は経営についてほとんど教えを受けることができなかったんです。また、ちょうどリーマン・ショックの直後で製造業界全体が不景気に陥り、苦しい時期でもありました。しばらくして今度は東日本大震災後の不況も影響し、材料の仕入れもままならず、同業者との競争は激しくなるばかりだったんです。そうした困難を、私たちは社員、そして家族が一丸となって乗り越えてきました。