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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統と革新性ある石材店
加工から施工・設置まで

 

お墓は日常生活を陰で支える心のよりどころ

 
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杉田 それでも、柳取締役は時代の変化を受け止めつつ、家業を承継していく道を選ばれたんですね。いざ始めてみて、いかがでしたか?
 
 毎日バタバタで本当に大変でした。2015年に父が急に亡くなったことが承継の直接のきっかけだったので、心の準備どころではなく、会社の判子を探すところから始めたのを覚えています。おかげさまで周りの人にすごく助けられ、2年目の途中ぐらいからようやく自分なりの道が見えてきた感じですね。
 
杉田 大変でしたね。それにしても、石材店さんのお仕事とは、具体的にどのようなものなのでしょう。
 
 石材店によって異なるとは思いますが、弊社の場合は墓石そのものの製造に関わるだけでなく、お墓の設置を基礎からすべて行っています。土を掘って栗石を入れ、転圧機で固めて枠組みをつくったところへ生コンクリートを流し込んで・・・という具合ですね。
 
杉田 知りませんでした。てっきり家などを建てるのと同じで分業になっているものとばかり。土木作業から全部手がけるとなると、かなりの重労働では?
 
 そうですね。それを父や祖父の代から従業員なしの家族経営でやってきました。夏の暑さ、冬の寒さ、現場仕事が重なると大変です。
 
杉田 本当に体力仕事ですね。先ほど、お墓に対する考え方が変わってきているというお話がありました。私も同感で、最近あるきっかけで実家や主人の家のお墓参りを大切に思うようになったんです。以前は忙しさや地理的に遠いのを言い訳にごぶさたになりがちでした。東京など都心部ではロッカー式の納骨堂が増えていると聞きますし、樹木葬のような墓石を立てない形式もありますね。柳取締役ご自身は、お墓についてどのようにお考えでしょう。
 
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 お墓って日常生活ではあまり意識しないし、極端に言えば、なくてもいいものかもしれません。でも、お盆やお彼岸じゃなくても、ふとした瞬間に思い出すものなんですよね。墓地で作業していても、そういう方が時おりお寺を尋ねていらっしゃいます。ご家族やご先祖に思いをはせるうち、お墓のことが頭をよぎったから来てみた──という方が少なくないんですよ。
 
杉田 わかります。普段は忘れていても、決して自分と切り離せないですよね。日常を陰から支えてくれる心のよりどころのようなものだと思います。
 
 まさにそのとおりですね。ただ、墓地やお墓と聞くと、どんよりとした暗いイメージを持たれる方が多いようで、我々の業界が身近に感じられない、あまり近づきたくないと思われる理由でもあると思うんです。そういった従来のイメージを、これから少しずつでも変えていきたいですね。