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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

知識と共に基礎力を培い
努力の経験を自信に転換

 

入江伸先生からの手紙で一念発起

 
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吉井 それまでの実績を買われたのですね。
 
服部 でも、勤めているうちにこれは違うと思い始めました。と言うのも、経営者が営利主義に走り、生徒の成績アップを重要視していない塾が多いと気付いたんです。それで勤めていた塾を辞め、業界で著名な入江伸先生のもとに弟子入りしようと考えたんですよ。入江先生は優れた教育者として知られ、たくさんの一流校合格者を輩出された方。著書も多数あり、私はそれを読んで先生の持論に深く感銘を受けていました。
 
吉井 考えたということは、実際には弟子入りされなかったのでしょうか。
 
服部 はい。弟子入りしたい旨を手紙にしたためたら、丁寧な返信があって、入江塾を辞めるとおっしゃるんです。「私が教育を行う目的は、成績の良い子の有名校合格を確実にすることではない。成績が芳しくない子の成績を上げてこそ私の価値がある」と。入江塾が有名になりすぎ、優秀な生徒がたくさん集まるようになって本来の趣旨から外れてしまったから、辞めるとおっしゃったんですよ。
 
吉井 入江先生が優れた教育者でいらっしゃることがうかがえるエピソードです。
 
服部 手紙はこう結ばれていました。「僕ができなかったことを君がやってください」と。それで一念発起し、26歳の時に塾を開いたんです。
 
吉井 入江先生の信念を引き継がれたのですね。それから今日まで、順風満帆な経営を続けてこられたと。
 
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服部 いいえ。実は30年ほど続けた後、その塾は閉校してしまったんです。私の成功を妬む人が現れ、悪質な営業妨害に遭いましてね。二度、三度と移転を余儀なくされたうえ、生徒にも迷惑がおよびそうになったので、閉校しました。
 
吉井 30年営まれた塾を閉めるのは、断腸の思いでしたでしょうね。
 
服部 はい。その後もいくつかの塾に勤めたものの、営利主義の塾が多く辟易しました。それで、塾とはまったく関係のない肉体労働の仕事に就いたんです。空手を長年しておりますので、体力には自信がありましたからね。
 
吉井 塾講師として長いキャリアを持ちながら、それが活かされないのはとてももったいないですよ。服部代表にとっても、教えを請う子どもたちにとっても。
 
服部 ありがとうございます。実は、その当時、元教え子の親御さんに偶然出会い、吉井さんと同じことを言われましてね。「何をなさっているんですか!」と大変驚かれ、そして嘆かれ、「今すぐ教壇に立つべきだ」とおっしゃいました。その言葉に刺激を受け、また塾講師に復帰したんです。