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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

環境に優しいナノ粒子の高速合成で世界に革新を
ナノアース 工学博士 夫恒範

 
プロフィール (プ ハンボム)大阪府出身。東大阪で鋳造業を営む家に生まれる。大阪市立大学で工学の博士課程を修了。2003年から足掛6年間、ドイツの大学、国立研究機関などで半導体材料の研究に勤しんだ。帰国後は産業技術総合研究所や国立大学での研究に従事。2011年より大阪市立大学教授でナノマテリアル工学研究室教員の金大貴博士のグループに参加。ベンチャー企業ナノアースを立ち上げ、半導体材料の共同研究を進めている。【ホームページ
 
 
 
白衣をまとい日々実験データと向き合う――。そんなイメージと一線を画す研究者が、夫恒範工学博士だ。幼い頃から町工場の街、東大阪で育った夫博士は研究者となった今も、自らを「バケ(=化学)屋」と呼んで憚らず、汗をかいてナンボと明るく笑う。しかし、その笑顔の裏にはいくつもの挫折があった。人の支えなくしては乗り越えられなかった壁、そして世界に革新をもたらす現在の研究内容について、詳しく語ってもらった。
 
 
 

物理化学の本場の欧州で足掛6年間研究

 
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インタビュアー タージン(タレント)
タージン 半導体材料の研究開発を行っているナノアースさん。まず、夫博士のこれまでの歩みを教えてください。
 
 大阪市立大学で博士号を取得後、30歳でドイツに渡り、半導体材料の研究に従事しました。最初の研究は電気を通すプラスチックで、有機材料として通電性を持つプラスチックを精密に設計合成するグループに所属していました。
 
タージン 通電性を持つプラスチックは、現在、コンピュータや携帯電話、テレビモニターなど多岐にわたって利用されていますね。そのグループで、夫博士はどんな役割を担っていたのですか?
 
 グループで分子設計して合成した材料が持つ光電気化学的特性を、分析評価するのが主な役目です。対象物の電気的特性、つまり、電流や電圧ですね。それに加えて光特性の関係性などを分析評価します。
 
タージン 欧州という有機光電子材料の研究開発の本場で足掛6年間も最新の研究に携わっていたとはすごいですね。その後、日本に帰国したのはなぜなのでしょう?
 
 リーマンショックです。2008年の秋頃から欧州にも目に見えて影響が広がり出して、幾つもの研究開発プロジェクトが縮小したり、頓挫したりしました。そうなると、外国人への滞在基準が厳格なドイツへの在住も難しく、帰国することにしたんです。