和歌山の特産品である、くしもとポンカンやレタスの生産・販売を手がける合同会社More Agri(モア アグリ)。代表を務める岡本義広氏は、かつて野菜の価格や需要と供給のバランスの不安定さを目の当たりにしたことで、「いつか自分の力でこの問題を改善したい」と独立を果たした。その思いの通り、現在は作物の値動きの安定と、くしもとポンカンの普及に尽力する岡本代表の瞳には、未来の農業への希望の光が映っていた。
野菜の価格変動を改善すべく起業

インタビュアー 山本隆弘(元バレーボール選手)
岡本 私の祖父が果樹園を営んでいたので、小さい頃から農業が身近にありまして。香川大学の農学部に進み、食品衛生学を学びました。卒業後は地元の和歌山で在学中の学びを活かせる就職先を探していたのですが、なかなかそういった職場が見つからなかったので、税理士事務所に勤めることにしました。
山本 え、税理士事務所に? それは意外ですね。
岡本 経営の勉強をすれば、管理職として農業に携われるのでは、と考えたんです。実際、事務所に3年間勤めた後は、大阪の野菜加工会社に就職しました。その会社で加工食品の流通ルートについて学んだところ、野菜を仕入れる際の価格が安定していないために、需要と供給のバランスがうまくいっていない現状を目の当たりにしました。それ以来、私は仕事に励みながら「いつか自分の力でこの問題を改善することができないか」と考え始めるようになり、2016年に独立したんです。以前の会社での経験を念頭に置き、まずレタスとレタス苗の生産・販売から始めました。
山本 なぜ、レタスに目を向けられたのですか?