「電解研磨」という技術で、ステンレスやアルミなど金属の表面を滑らかに磨き上げる。医薬品や食品を保存するコンテナ、さらに、半導体製造装置などの生産に欠かせない工程を担うのが有限会社石田電解研磨工業所だ。代表取締役の石田龍司氏は、13歳の頃から家業を手伝い15歳で父の後を継いだ職人。「頼まれた仕事は、絶対に断らない」という金属研磨のベテランが解説する、電解研磨のメリットとは──。
13歳でリヤカーを引き家業を手伝う

インタビュアー 石黒彩 (タレント)
石田 弊社は、私の父である石田末吉が1937年に創業した石田鍍金工場が前身で、当時の事業はメッキ加工だったんですよ。その後、バフ研磨という金属研磨を手がけるようになりました。私も13歳の頃から仕事を手伝うようになり、リヤカーを引き、島田軽金属から鍋の蓋やボール、洗面器、給食用牛乳カップなどの依頼品を山のように積んで帰ったものです。
石黒 お鍋のふたや金属製の洗面器をキレイに磨くためですね。そのバフ研磨とは、具体的にどのような技術なのか、教えていただけますか。
石田 バフ研磨は、布バフ、フェルトバフなどを回転させながら研磨材にトリポリ、白棒、青棒などを押し当てて金属の表面を磨き上げる技術です。アルミの研磨後はアルマイト加工して製品になります。ステンレス製品は、バフ研磨#400に仕上げていますね。現在、バフ研磨は電解研磨の下地づくりなどに利用されているんですよ。