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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 東京都出身。学生時代はプログラマーの仕事を経験。その後、大手総合電機メーカー子会社のIT部門に就職した。知り合いの紹介で圧送業に携わったことをきっかけに、IT業界からコンクリートの圧送業界への転職を果たす。以後、30年間にわたり現場でのノウハウを積み、昭栄興産(株)の社長業を引き継いだ。また並行して東京都コンクリート圧送協同組合の理事長も務め、業界の活性化のために奮闘している。【ホームページ
 
 
 
コンクリート圧送は、建築物の基礎を仕上げるための重要な工程だ。建築物の高層化が著しく、また震災の不安ムードも漂う昨今では、より強度の強い建築物が求められており、圧送職人たちの技術はますます必要不可欠になるだろう。しかしそうしたニーズとは裏腹に、圧送業界では人材不足や労働環境などの様々な問題に直面している。そんな業界の現状を改善するために日夜奮闘しているのが、東京都コンクリート圧送協同組合の理事長も務める、昭栄興産株式会社の末藤雅宏代表取締役だ。
 
 
 

祭りのように活気ある圧送工事現場

 
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インタビュアー 名高達男(俳優)
名高 コンクリート圧送や打設工事を手がける昭栄興産さん。末藤社長は東京都コンクリート圧送協同組合の理事長も務められているそうですね。圧送業を始められたきっかけは何だったのでしょうか?
 
末藤 もともと私は大手総合電機メーカー子会社のIT部門で働いていたのですが、ある年のお盆休みに知り合いの紹介で圧送業者の手伝いに行ったんです。現場監督をはじめ様々な方と協力して完成させていく過程で、人と力を合わせて建物をつくる楽しみを知りました。それにバブル期の当時は人手が不足していたこともあり、そのまま圧送業界に飛び込んだ形です。
 
名高 IT職から圧送業の職へ進まれるとは、なかなかできる決断ではありませんよ。それだけ、圧送業界にはならではの魅力があったと。
 
末藤 ええ。当時の現場では、コンクリートを圧送・打設する作業がお祭りのような雰囲気の中で行われていて。というのも鉄筋コンクリートの打設作業は、建物の基礎となる重要な部分をつくる作業なので、作業者みんなで集中して取り組むんです。鉄筋職人さんが鉄筋を組み、大工さんが型枠をつくり、自分たちがコンクリートを流し込む。みんなの共同作業なんです。
 
名高 1つの作業にみんなで集中して打ち込み、完成後の喜びを分かち合う。そういう意味でのお祭り感覚なんですね。
 
末藤 そうです。特にマンションや学校などの大きい建物の現場では、膨大な量のコンクリートを朝から晩までかけて一気に流し込んでいくんです。みんなで汗を流しながらわっせわっせと働く現場はとても活気があって、楽しいですよ。