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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

縫いも磨きも全て手作業
世界で一つのレザー製品

 
 
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矢部 植物タンニンなめしって何ですか?
 
伊倉 「皮=スキン」をなめすことで「革=レザー」にするのですが、その工程で化学薬品を使うのがクロムなめし、タンニン(渋)を使うのが植物タンニンなめしです。タンニンなめしは繊維が壊れず、美しい焼き色になります。なめすとは「鞣」と書くのですが、字のごとく革を柔らかくして使うことを言うのです。
 
矢部 そんな違いがあるんですね。値段にも差があるんですか?
 
伊倉 そうですね。タンニンなめしを行うタンナーさんは国内では栃木レザーと姫路レザーが主で、クロムなめしに比べ高価です。しかし、その2大拠点でつくられるタンニンなめし革は、世界中で認められている最高品質の革なんですよ。
 
 

ものづくりの原点は実家の大工仕事

 
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人気商品のスバル車アクセスキーのキーケース
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自作のレザーアイテムが際立つ、伊倉代表の愛車ハーレー
矢部 最高品質の革を利用しているわけですね。でも、なぜそこまで革の品質にこだわるんですか?
 
伊倉 いい商品をつくるにはいい材料が不可欠ですし、ほぼ全ての商品を手縫いで制作するので、タンニンなめしのコシの強い革でないとダメなのです。
 
矢部 手縫いって大変そう! しかも、コバ磨きというのも手作業なんですよね。
 
伊倉 はい。コバとは革の断面のこと。そこをどれだけ丁寧に磨き上げ、艶を出せるかで仕上がり具合が変わるんですよ。
 
矢部 艶出しって薬や機械ですると思っていたので驚きです!
 
伊倉 薬や機械を使う工房もありますよ。でも当店では全て手作業にこだわっています。コバ磨きは伊の蔵・レザーの全工程の中で最も時間をかける作業です。比べてもらえば他店との品質の差を実感してもらえるはずですよ。手づくりと言えば、実はこの工房もアメリカのガレージをイメージして、設計から材料調達、施工まで全て私が行いました。
 
矢部 工房も手づくりなんですか!? どこでそんな技術を?
 
伊倉 実家が大工だったので、昔から物をつくる素材や道具が目の前にあり、自然と道具の使い方などを学んでいたんです。
 
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矢部 ご実家が大工さんだったんですか。後継ぎになることは考えなかったんですか?
 
伊倉 考えましたよ。父は私と8つ上の兄に「自分の店を継いでほしい」と願っていましたからね。それで、兄は現場で活躍できるように、そして私は設計や営業ができるようにと育ててくれました。高校卒業後には、建築工法と英語修得のためにカナダ留学もさせてくれましたので、両親には心から感謝しています。
 
矢部 伊倉代表が設計した図面を基にお兄様が施工するというのがお父様の夢だったんですね。
 
伊倉 ええ、それに私も兄を職人として尊敬していましたし、私の図面を忠実に再現して建築をできるのは兄しかいないと思っていたので、その道に進むことに迷いはありませんでした。ですから、留学後は大手ゼネコンの子会社で設計の仕事に就き、修業したのち実家に戻ったんです。
 
矢部 原点は大工仕事にあったんですね。そこからどうしてこの道に?
 
伊倉 妻との結婚が、ターニングポイントでした。彼女が、静岡県の御殿場エリアで最大級の規模を誇る人形店の娘さんだったんです。
 
 
 
 

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