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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

遺伝子レベルの検査で
動物の健康を守る

 

遺伝子レベルの検査や細胞免疫療法の有用性

 
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宮地 これらの技術は、全国的にみても珍しいものではないのですか。
 
山口 そうですね、会社を設立した当時は、当社以外に取り組む企業はほとんどありませんでした。ですが、基本的には遺伝子検査の技術は食品や植物に対するものと同じなので、最近では大手検査センターや異業種である食品メーカーなどもペット領域に参入し、この技術を活用している企業も増えてきました。ですので、逆に獣医さんも、どこにお願いすれば良いかを判断するのに迷っているかもしれませんね。
 
宮地 でも、早くからこの技術を確立し、ペット専業として臨床経験を重ねてきた御社は、他社と比べてもアドバンテージがありますよね。
 
山口 ありがとうございます。あとは、この遺伝子レベルの検査や細胞免疫療法が有効だということを、いかに理解していただくかでしょう。40代より若い獣医さんは大学で遺伝子を扱う技術について学んでいるので理解も早いのですが、私の代や、それ以前の方ですと “遺伝子” は難しいものとして初めから拒絶反応を起こしてしまうことも多いのです。実は、私もそうでしたから(笑)。その意識をできるだけ払拭していただき、私どもの取り組みについてご理解いただくための啓蒙活動を進め、多くの獣医さんに遺伝子レベルの検査や細胞免疫療法を導入していただければ、飼い主さんもより安心なペットライフを楽しむことができると思っています。
 
宮地 遺伝子レベルの検査や細胞免疫療法が早く浸透してほしいものです。そういえば、先ほど 「細胞免疫療法は法的な規制がある」 とお話をされていましたよね。現在は大丈夫なのでしょうか。
 
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山口 基本的に法的な規制は変わってはいません。現在、獣医師法では獣医師本人が自分の病院の中で、自分の患者に対して治療を施すよう規定されています。ですから、私たちは培養技術指導として希望する獣医さんのサポートを行っているのです。また、大学とも積極的に共同研究を行い、新しい技術開発や効果の検証を進めています。
 
宮地 それなら、ウチのコもぜひ受けさせたいです! あ、でも、自分の免疫細胞を自分に戻すわけですから、癌でないと意味がないのかしら?
 
山口 いいえ、基本的に免疫機能を上げるのですから、癌以外にも応用は可能ですよ。人間の例でいけば、血管年齢を若くするような、アンチエイジングにも効果が期待できるといわれています。あとは、癌の手術後の再発予防や、傷の治りを早めるといった補助療法でも利用されていますね。