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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

理美容師専用ハサミの
トップメーカーの技術

 
 
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超スムーサー蛤刃小指掛日本人
の髪向けの鋼材
髪を傷めない棒刃扇形
融点
・・・特許技術と独自デザインが目白押し!
高橋 はい、これは非常に苦労しましたね。鍛造後で大事なのは加熱後の急速冷却、いわゆる 「真空焼入れ」 と 「サブ0処理」 です。ところが、刀鍛冶も焼入れは勘でやっていた。しかしそれだと、どうしてもムラが出るので、温度計で細かく設定を変えながら、最適な焼入れ温度を探ったんです。そうしたら、刃の硬度が急に上がるポイントを見つけたんですよ。プラスマイナス5℃までの誤差しか許されないのですが、この温度を発見して以来、安定的に製品を供給できるようになりました。おかげさまで、今では35シリーズ・105種類ものラインナップを展開しています。ホームページに詳しい紹介が出ていますので、ぜひ一度ご覧いただきたいですね。
 
 

新技術で7つも特許を取得
常識破りの高値でも飛ぶように売れた!

 
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ショーケースに代表的なシリーズが勢揃い
名高 本当に素晴らしい技術ばかりで、心から敬意を表します。それこそ、特許レベルのものもあるんじゃないですか?
 
高橋 はい。今までハサミの製造方法などで7つの特許(ekouhou.net の記事はこちら)を取得しています。それだけ、従来のハサミが理容師のことを考えていなかったとも言えますが。
 
名高 いやぁ、高橋社長とお父上がどれだけ理容師の身になって考えたかという証拠ですよ。最初の製品が完成した時は、嬉しかったんじゃないですか?
 
高橋 嬉しかったですねえ。元が理容師ですから、試作品ができると自分たちの髪で試すわけですが、驚くほどキレがいいんです。切りすぎて坊主頭になってしまったくらいで(笑)。ですから、本当に自信がありました。「自分たちが使ってこれだけ満足するんだから、間違いなく支持されるだろう」 と。
 
名高 元理容師さんが言うんだから説得力がありますよね。評判はいかがでしたか?
 
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何百というハサミを生み出してきたプロの繊細な手つき
高橋 当時、理容師のハサミは1丁1500円だったんです。当時の給料1ヶ月分くらいですよ。そんな時代に8000円で販売したのにもかかわらず、売れましたね~。まったく宣伝しないまま、クチコミで広がっていきました。
 
名高 給料半年分ですか!  うわ~。でも、職人の商売道具ですからね。皆さん、お金には代えられない価値を見たんでしょうね。
 
高橋 その当時、ラスベガスのコンベンションセンターでしたか、「ヘアーワールド」 という世界大会に出展した時に、他のハサミメーカーが25ドルくらいで出している中で175ドルで出していたので、売れなかったんですね。海外ではハサミは使い捨てるもので、25ドルというと、私のブースでは研ぎ賃ですよ。だからアメリカ人の理容師は 「とんでもない」 と言うわけです。そこで 「満足しなかったら25ドル返すから、1丁だけ研がせてくれ」と言ってやらせてもらったら、「素晴らしい! 何だこの切れ味は!」 と感動されましてね。翌日にたくさんのハサミを持ってきて 「研いでくれ」 と頼まれました。そんなこともありましたね。