アキバ徽章株式会社 代表取締役 秋場祐司
日本独特の鍛造徽章を
もっと身近に感じてほしい

山本 商品ができあがるまでの工程はどのようになっているのでしょう。
秋場 大まかに説明しますと、まずデザイナーがラフスケッチを描きます。次に職人がそのスケッチを見ながら金型を作り、お客様とすり合わせて確認をとります。OKが出たら、実際にプレス加工して制作するという三段階の流れです。ただ、特に大変な工程がひとつあるんです。それは職人が金型を作るところ。金型を作る際は、すべて職人がひとつひとつ手作りで手掛けますので、細かいところを糸のこで切ったり、ひとつの型を作るのに丸一日がかりになることもあるんです。また、そうやって作り上げたサンプルもすぐにOKが出るとは限らない。品物を1個仕上げるまでに普通でも3ヶ月から半年くらいかけます。
バッジをひとつ作ろうと思ったら、最初に型が複数個必要になる場合があります。しかも、お客様としては現物を見ないとイメージだけでは当然判断できないので、何種類もの金型にいろんな色を組み合わせてご確認いただきます。トータルすると、数十個もサンプルを作る場合があります。
バッジをひとつ作ろうと思ったら、最初に型が複数個必要になる場合があります。しかも、お客様としては現物を見ないとイメージだけでは当然判断できないので、何種類もの金型にいろんな色を組み合わせてご確認いただきます。トータルすると、数十個もサンプルを作る場合があります。
自己満足を自己否定する
山本 手間をかけていますね。ひとつひとつの注文に思い入れがあるからこそできることですよね。

秋場 そうなんです。試行錯誤してサンプルを作っても、実際スーツにつけて、見て、最終的に合うか合わないかを判断しますから、そこまでは全く気が抜けません。紆余曲折を経ていろんなアイデアを提案しても、最終的に例えば紺のスーツにぴったり収めたいという理由で当初のアイデアに戻ることもあるんです。そこまでの工程が無駄になるような気がされるでしょうが、でも、その工程は大事にしたいと考えています。顧客企業さまの新入社員など、前途有望な方々に意気揚々とつけてもらいたいですから、自己満足で終わってしまってはいけません。使っている皆さまが満足していただけているかどうか、常に気にかけています。
山本 簡単に済ましてしまわないのは、徽章の老舗会社としての志ですね。
秋場 そうご理解いただけると嬉しいですね。実際、経営的にやりにくい部分もあるのです。商品の性質上、会社のロゴマークを金型に起こす際も簡単なものばかりではありませんし、徽章の金属は金や銀を使うことも多いので、1000個単位の注文があると、現金で貴金属素材を仕入れないといけない。そのコストや相場リスクを考えると、非常に緊張感がある商売です。でも、一度作ったらずっと残るものですから、決して妥協しないようにしています。

山本 秋場社長は子供の頃から、そのように頑張っていた先代やスタッフの皆さんの姿を見ておられたのでしょうか。
秋場 そうですね。それに、私も小学生の頃からバッジ製作に関わってましたから。もちろん子供の小遣い稼ぎみたいな、ちょっとした手伝いですけどね。できあがった商品を紙などに包んで箱入れしていくと、親父が1個につき1円をくれたんです。その頃は、自分がこうやって後を継ぐとは考えもしませんでしたが、ピカピカのバッジを自分の家族が作っているのは誇らしい気分でした。



