株式会社岩波海苔店 代表取締役 岩波克弥
海苔専業の心意気が香る
オリジナルのりが大人気
味には絶対に妥協しない
山本 味付けのりは味付けのりでも “胡椒味” というのは、どなたのアイデアですか。
岩波 私が考えました。じつは最初は、チーズのりを作ろうとしていたのです。チーズやグラッパ、ハーブなど、山のように食材を買い込んで試作を繰り返しました。ところが、作り方を凝りすぎてしまって(笑)。 結局「美味しくない」と半ばあきらめたところに、たまたま転がっていた胡椒をのりにかけて食べてみたら、めちゃくちゃうまかったんですよ。ベースは韓国のりで、胡椒とごま油、コクを出すために他の植物油も使っています。そこまでしないと、求める味にはならないんですね。
山本 味にこだわりを持っていらっしゃるのですね。
こだわりを詰めこんだ大ヒット商品 「魚河岸ペッパー」。
縮んだままだから、ちりちり、さくさくした食感が楽しめる。
岩波 食べ物はなんでもそうですが、その国で食べると美味しいのに、なんで日本で食べると美味しくないんだろう、と思うことがありますよね。「魚河岸ペッパー」 も、オリジナルの味を求めつつ、ベースの韓国のりの味も絶対に犠牲にしないと決めて開発しました。だから手間がかかるんですよ。他のメーカーさんの韓国のりは形がまっすぐになっているんです。でも当社ののりは縮んだままです。じつは、のりというのは、縮んでいると切ったり箱詰めしたりするときに扱いづらくて仕方ないんですね。でも当社はあえて、そのままにしています。私は縮んだのりの、ちりちり、さくさくした食感が美味しいのだと考えていますから。
唯一、本場の韓国のりと変えたのは香りです。韓国では、のりから香りはほとんどしませんが、日本人は焼いたのりの香ばしさが好きですからね。韓国人の工場長とは 「もっと焼け!」 「これじゃ焦げてる!」 と、ほとんど喧嘩腰でずいぶんやり合いました(笑)。その他にも、のりに美味しさの元になる油をたっぷり含ませるために、ものすごく温度を低くして時間をかけて焼き上げるといった、様々な工夫を凝らしているのです。
山本 品質が認められて、岩波海苔店さんは防衛省にものりを納めていらっしゃるそうですね。
岩波 はい。非常時の保存食として納品しているのですが、これがなかなか苦労しました。備蓄品なので、5年間は品質が保たれなければいけないというのですね。ですから、2002年から2007年まで、テストのため自衛隊の駐屯地の倉庫に置かせてもらって、ようやくOKをいただけました。保存食は演習のときに実際に食べていただけるので、年に一度、数十万食という大量の発注をいただけます。しかも、昨2009年の発注から、一昨年までの5倍の量に増えました。



