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第3回 BCPの観点から見た最重要の対策とは何か

 
 

これまでの対策は「初期初動対応(IMP)」に留まっていた

 
 BCPをどこまでやるかは、その企業によって違う。お金や手間を無駄にかけてもしようがない部分があるし、パンデミックが起きたときに増える業務もある。ふだんから、危機状況下で必要になる業務、継続するべき業務、縮小するべき業務をわかるようにしておくべきだ。
 では具体的にどうするべきなのか。BCP支援のコンサルティング会社、ニュートンコンサルティング(株)の副島一也社長に聞いてみた。
 
 
 「いろんな企業がつくっている膨大な量のマニュアルを拝見する機会が多いのですが、厚労省などのガイドラインをちょこちょこっと変えて、『きちんとやっています』という企業がかなり多いのです。詳しく聞いてみると、それらはすべて『BIA(ビジネスインパクト分析=リスクに備えて自社のビジネスのどこに欠陥があるか分析すること)』に基づいて考えられた 『初期初動対応 (IMP=Incident Management Program)』 に留まってしまっています。分厚いマニュアルを作っても、内容はBIA、IMPで終わっている。それでは本当の意味のBCPとは言えないのです」
 
 
筆者は前回、新型インフルエンザに備えて企業トップがとるべき対策として、次の5つを上げた。
  • 社員と顧客を感染から守る対策を作る
  • 感染した社員が休める体制を作る
  • 緊急連絡体制を作っておく
  • 的確な情報把握と迅速な意志決定
  • BCPの策定=重要業務の特定と事業継続の仕組み作り
 
 副島氏の指摘によれば、上の4つはIMPであり、5つ目の本当の意味でのBCPの策定こそが最重要だったということである。ふだん100%稼働している事業が、災害や事故などが起こって止まる。そのときにどうするかのIMPを考え、その次に、止まった業務をどのように再開、継続するかという「BCPの発動」となるのである。
 これまでも、大企業で「きちんとリスク管理をしている」 という会社は多いが、それらはBCPというより、ほとんどが地震対策、インフルエンザ対策だったという。しかし、地震もインフルエンザも、BCPの考え方ではあくまでもリスクの一つなのである。新型インフルエンザも一つのリスクとして、BCPの中にしっかり位置づけるべきなのだ。
 地震、火災、テロなどはものを破壊するが、新型インフルエンザは人間が破壊される。そのリスクが顕在化しているにもかかわらず、結果に対する備えがBCPという観点から考えられていない、と副島氏は指摘する。
 
 
 「感染して人員が減ったらどうするか、社員の緊急連絡網や客先への連絡、自宅待機の方法、何人感染者が出たら休ませるか、そこだけルールを決めて対応はできたというトップが多い。しかし、その後、事業を復旧させるときに、どういう手順で行うかという最重要課題がすっぽり抜け落ちています。自社にどんな事業があるのか、それは社会機能維持に関わる事業なのか、あるいは自社がサポートしているのは客先のどの部分なのか、そもそもその客先は何をしているのか・・・・詳しく聞いてみると、社長自身も知らないというケースが実に多いのです」
 
 
 基準や手順など、いくら立派なものを作っておいても仕方がない。平時に自社のビジネス影響度分析(BIA=Business Impact Analysis)をやり、いざというときの継続、縮小する業務を決め(IMP)、いかに復旧するかの手順の部分を現場に作ってもらい、それが動くかどうか検証する。この流れをしっかり策定して訓練の部分まで実施しているのは大手金融機関くらいで、それ以外の企業ではほとんどできていない。本来のBCPの観点から、新型インフルエンザをしっかり考える必要があるという。
 
 

 

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