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ビジネスコラム 経験的ノウハウと専門的知識、そして専門家だからこその独創的な視点。月ごとのテーマに即した特集の他、各分野のエキスパートが、ビジネスに活用できる「知」と新たな視野を提案します。

株式会社 フェイス総研 代表取締役社長 小倉 広 『ヴィジョナリーカンパニー』の考え方に沿って、社員の成長をうながす企業の作り方について考える集中連載 第3回(最終回)

第三回の初めに・・・

 前回、ビジョナリーカンパニーへ生まれ変わるための最初のステップとして、「カリスマ経営からの脱却とリーダーの抜擢」を紹介しました。その中でも、次世代リーダーによる組織変革プロジェクトはパワフルな手法です。
 では、プロジェクトチームさえ立ち上げればそれで組織変革の成功は約束されるのでしょうか?否。組織変革はそんなに甘くはありません。成功する確率は半分よりもはるかに低いのです。では、プロジェクトの成否を分けるのは一体何なのでしょうか。
 
次のステップは「対立から始めるチームビルディング」です。
 
 
■ 本音でぶつかり合う本物のチームをつくる
 まずは、次世代を託すリーダーたちが一枚岩にならなければ、会社を変えることはできません。プロジェクトの成否を分ける一番の分かれ目は、チームビルディングが成功するか否か。そしてそれは、チーム結成後すぐから3ヶ月目までの段階で決定される、と言えるでしょう。
 ここでのポイントは「対立から始める」ということ。メンバーの多くは、「腹にイチモツを抱えたまま」仕事をしているものです。「彼は信頼できない…」「あの部署はいつもわがままばかり言っている我々の敵だ…」などなど。わだかまりを腹に抱えたまま表面でにこやかに接する組織が百年続くビジョナリーカンパニーになれるわけがない。まずはそれらのわだかまりを表に出させ、問題を明らかにする。そしてその対立をビジョンに向かって昇華させていく。このプロセスが大切なのです。
 この部分を省略し、いきなりビジョンという「べき論」へ進む組織が世の中の大半ですが、その多くが結局はうまくいかず立ち往生しています。「急がば回れ」の姿勢でこのステップをしっかりと踏んでから「理念の策定」や「人事制度設計」へと進むべきなのです。
 私はこれまで数多くのプロジェクトチームを支援してきましたが、いきなり議論の本題に入る前に、必ず以下のメソッドを活用しています。
 
 
■ メソッド1 意図的に対立を引き起こす
 チームをつくるだけでプロジェクトメンバーがいきなり本音を語りだすことはありません。我々がやらなければならないのは、メンバーが本音を出さずにはいられなくなるような場の設定であり、それを受け止めるムードづくりなのです。
そのために最初にすべきは意図的に対立を引き起こすことです。組織生成について心理学者のタックマンが提唱したタックマンモデルによれば、組織が機能するためには、
Forming:形成」→「Storming:対立」→「 Norming:統一」→「 Performing:機能」
の4ステップが必要です。
 まずはグループが「Forming:形成」されます。しかし、グループがいきなり「Performing:機能」することはありません。その前にバラバラな価値観や考え方がきちんと表出されて「Storming:対立」する必要があるのです。多くの経営者はこの最も大切なStormingを行わずにいきなり「Norming:統一」を行おうとします。
 誰だって対立は嫌なものです。不平不満が並べられるのを聞きたくはありません。しかし、それを避けて通っても消えてなくなるわけではない。むしろ水面下で不満が醗酵してブクブクと泡を発し、以前よりも問題が大きくなるだけなのです。であるならば、早めに表に出して解消するほうがはるかに生産的です。チームビルディングにおいて最も大切で最も困難な対立をうまく引き起こし解消することができたならば。その次のステップとなるNorming、さらにPerformingへと至ることができるようになるのです。
 
 
■ メソッド2 フィードバックの習慣をつくる
 本音でぶつかりあえる真のチームビルディングを行うために、率直なフィードバックは欠かせません。互いに目指す姿に対してどうなっているかをフィードバックし合うことで、目標達成へ近づき、一人一人が成長することができるのです。そう、フィードバックは組織文化をつくり、人を成長させるのです。
 では、どのようにしてこのフィードバックの習慣をつくれば良いのでしょうか。例えば当社の場合、「Iメッセージ」で語ることを大切にしています。「会社が悪い」、「あの部署がおかしい」というようなYOUメッセージに対して、「私はこうします」、「まずは私から始めます」というIメッセージで語られた言葉は誰にも否定できないもの。人はIメッセージで語ることによって、びくびくしたり、遠慮したりせず思い切って意見を言うことができるようになるのです。

小倉広