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ビジネスコラム 経験的ノウハウと専門的知識、そして専門家だからこその独創的な視点。月ごとのテーマに即した特集の他、各分野のエキスパートが、ビジネスに活用できる「知」と新たな視野を提案します。

アシストワン 有限会社 代表取締役 玉川 卓生 第2回 「知って得する!知らないと損する!回収の知識」 今回は、回収業務に必要な基礎知識をお伝えします。

 

第2回『知って得する!知らないと損する!回収の知識』

 
 「回収は苦手で難しい」との先入観をお持ちの人は思ったよりも多く、回収業務が楽しくて得意だという人はあまり聞いたことがありません。
 多くの人が、会社や勤務先の売掛金等はもとより個人的なお金の貸し借り等でも、請求や督促等を経験しており、思うように結果が出ず苦労してかなり苦い経験をされているように聞いています。今回は、そんな辛く苦い思いを繰り返さないために、回収に必要な知識をお伝えしたいと思います。
 
 
 まず、法律的な知識として『消滅時効』について説明します。
 消滅時効とは、真実の権利関係に関係なく、一定期間その権利を行使しないことにより、その権利が消滅してしまうことです。「時効」と略され多く使われていますが、実はこの時効について、多くの人は勘違いをしています。期間から見直してみましょう。
 
 時効期間・・・    1年(運送代金・旅館ホテル等の宿泊料金・飲食代金・レンタル料金等)
   2年(商売上の売買代金(売掛金)・給与・弁護士等費用・塾、習い事月謝等)
   3年(交通事故等(不法行為)の損害賠償請求権・医療費・請負工事代金等)
   5年(金融機関、消費者金融の貸付金・労働者の退職手当・家賃・地代等)
10年(個人間の貸金・個人間の売買代金・敷金、保証金の返還請求権等)

 

 消滅時効の期間が過ぎた場合でも、相手側が時効の利益を受けるという(時効の援用)アクションがなければ、当然にその権利が消滅するわけではありません。また、消滅時効が完成しないようにするためには、債権者は消滅時効を防ぐ手段を利用して、消滅時効の管理をすることが大切です。

 

 消滅時効を防ぐ手段として、時効の中断時効の停止という二つの制度があります。
 
 時効の中断とは、それまでの時効期間の経過を振り出しに戻すことです。
 時効を中断するには、1「請求」2「差押・仮差押・仮処分」3「承認」の各方法があります。ちなみに請求は、裁判上の請求、支払督促、小額訴訟等などの他、裁判外の請求である催告も含みます。口頭や請求書等で支払い請求をした場合は、その後6ヶ月以内に1~3の手続きのいずれかを行えば時効の中断の効力が生じます。ただし口頭での請求は証拠が伴わないので、内容証明郵便にて行うようにしてください。 
 時効の停止とは、「中断の手続をすぐにはとれないが、もうすぐ時効になってしまう」ときに、一定期間、時効の完成を猶予するというものです。内容証明郵便などの確定日付のある書面で相手方に送ることを催告といいますが、まずはこの催告を行って時効を停止(戻せないまでも停める)し、その後6ヶ月以内に時効の中断の手続きをとることが有効です。
 
 なお、消滅時効は相手側が援用(「もう時効だから払わないよ!」)しなければ効力を生じませんので、債権者が承認や一部入金、利息の支払を受けていれば、債務者がそうと気づかなくて時効の中断になります。
 
 実際には、「1年から2年請求しなければ時効になってしまうことを知っているから、毎月もしくは長くても半年に1度は請求書を送付し、相手方に届いている。だから時効にはならない」と誤って認識している人が非常に多いです。その場合、当初の支払い約定日から既に何年も経っており、相手側が時効についての正しく詳しい知識を持っていると回収不可能になるケースが少なくありません。
 売掛金や請負契約等の支払いを請求する際、2~3年はすぐに経ってしまいます。ですから、正しい法律的知識を持ち、債務者に時効の援用をされる前に貴社の請求権利を守ることが大切なのです。
 これらに加え、上手に裁判所や公的機関を利用して相手側にプレッシャーを与えることや、小まめに督促や訪問等を繰り返すことにより当方の姿勢を示し、「本気だ」との印象を与えることが大切です。諦めムードで接してはいけないことも無論です。
 
 債権者が回収のために行うアクションには、内容証明郵便での催告、調停の申立、支払督促の申立、小額訴訟、訴訟等がありますが、債権の内容や金額及び相手側との状況に応じて判断し、最も効果的に回収できる方法を選択します。
 内容証明郵便の作成、裁判所への申立書や訴状等の作成は、法律の専門家(弁護士・司法書士等)でないとできないものではありません。債権額が数千円万単位と大きく、費用に余裕のある場合には、法律の専門家に一任した方が煩わしくはないと思います。しかし、多くの人は何十万から何百万円単位の債権額であり、一任した場合の報酬を支払うと回収できた場合でもほとんど残らないことや、最悪の場合、回収できなくて費用と報酬を支払って終わりという場合もありますので、良く考え、自身でできることは一度やってみることを、私はお勧めします。
 
 特別に詳しい法律の知識は必要ありません。最初は見様見真似で大丈夫です。裁判所や公的機関の担当者に聞けば教えてくれますので安心してください。
 あなたの人生において、知っていて損なことは無いと思います、むしろ得する場面のほうが多いと思いますので、ぜひチャレンジしてください。
 
 
次回は『回収成功事例』の話です。
 
 
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

玉川卓生 Tamagawa Takuo

アシストワン 有限会社 代表取締役

 経 歴 

昭和56年、大手消費者金融入社。入社後6ヶ月で支店長となり、5支店を移動しながら新規店立上げに奔走した。昭和60年、中堅消費者金融入社。不良債権回収の責任者に就任。平成2年、事業者向金融入社。取締役専務に就任。 平成16年、有限会社アシストワンを設立。 23年間金融業に携わり取得した、回収のノウハウ及び交渉術を活かし、企業・個人をアシストすることを事業目的とする。

 事業内容 

・  売掛金等管理回収サポート業務

・  調査業務(債権の調査・所在調査)

・  利息再計算(利息制限法)