6月――新しく採用した社員が職場になじみ、各自の持ち味も徐々に見えてくるこの季節。経営者以下管理職が共通してぶつかるのが、「彼らのパフォーマンスをどのように引き出していくか?」という課題だ。あまりに普遍的、かつあまりに個別対応的に見えるこの課題に、「行動科学マネジメント」は科学法則の視点から鮮やかに答えてみせる。従来の手法では物足りないすべてのリーダーたちに、新しい人材マネジメント手法を紹介する。
リーダーのための新手法「行動科学マネジメント」
「行動科学マネジメント」は、「部下が自ら喜んで仕事をする」ということを望むリーダーに向けた画期的なマネジメント手法である。一般的なリーダーや管理職は、多くの課題をもって日々の業務にあたっている。部下の育成、組織の運営、売上の管理、そしてリーダーとしての自己成長など、さまざまな課題が会社から与えられているはずだ。そんなリーダーの抱える様々な問題は、“行動”に焦点をあてることでポイントをつかみやすくなり、無理無駄な時間、労力を費やさなくて済むようになる。
「行動科学マネジメント」とは、行動分析学をベースとする人材育成メソッドであり、人間の行動原理に立脚したマネジメント手法である。科学的とは、「いつ、どこで、誰がやっても、同等の成果が得られる」ことを意味する。すなわち、実験再現性(実験によって繰り返し同じ結果を得られること)を備えているのだ。勘や経験に頼ることなく、常に行動の法則に目を向けて部下を導くのが正しい人材マネジメントだといえる。それにより社員のやる気を引き出し、結果的に会社全体のパフォーマンスを向上させられるのである。
行動分析学は心理学の一種だが、行動を基準にして物事を見るという、他の心理学にはない特質をもつ。われわれはなぜ今あるような方法で、行動するのか、どのようにして、習慣を身に付けるのか、どのようにして習慣を失うのか、これらが行動分析学のテーマだと言えよう。すなわち、今現在の行動をしているのはなぜか、それを変化させるにはどうすればいいかである。行動分析学が焦点を合わせるのは行動のみだ。
ところで、行動とは第三者が観察可能なものだけではない。スキナー*の定義によると、意識や認知も一つの行動である。目に見える行動だけが行動ではないということだ。行動科学マネジメントもこの考え方をベースにしている。
行動分析学は比較的若い学問分野だが、きわめて短期間のうちに数多くの原理が解明された。過去40年間で発見された原理はビジネス上の何千という問題を解決した。大部分は長く難問とされてきたものであり、中には絶対に解決できないと考えられていたものさえある。
たとえば、あるテレビ用のブラウン管を作る工場では、1年以上も悩まされ続けた品質の問題をわずか一日で解決した事例が報告されている。 また、メソッド導入から90日で離職率を半分に下げてしまったといった類の報告も珍しくない。
行動科学マネジメントは実験再現性を重視する科学的分析手段をベースとしているため、業種や規模を問わず、驚くほどの効果をもたらす。現在ではビジネスばかりか、教育・医療機関などの各分野でも効果が実証されている。
* スキナー・・・バラス・フレデリック・スキナー(B.F.Skinner, 1904~1990年)。アメリカの心理学者、行動分析学の創始者。20世紀に最も影響力の大きかった心理学者の一人とされる。
実績企業は数百社
日本でも徐々に行動科学マネジメントの名が知られ、弊社も多くの企業から依頼をいただき、研修に出向いているが、アメリカでは、NASA、ボーイング、3M Company、ウォルマートなどの名だたる大企業や官公庁・団体・機関がこぞってコンサルティングを受けている。その数は官民合わせて600以上。
このメソッドを学ぶ人は次のメリットを得ることができるだろう。
第一に、短期間でリーダーの養成を実現するスキームがわかる。
第二に、他の戦略メソッドや戦術を活用していても、融合して活用することができる。
第三に、売上を伸ばすマネジメントの仕組みが理解できる。その仕組みをどのような風に作ればいいかがわかる。
第四に、トップ社員のパフォーマンスを維持、継続できる。
第五に、アベレージ(平均)社員をトップ社員に伸ばせる。
第六に、アベレージ以下の社員をアベレージ以上に伸ばせる。
第七に、セルフマネジメントに応用できる。時間管理、行動管理、各学習、禁煙などが楽にできる。
他のマネジメントとの違い
行動科学マネジメントは従来の一般的マネジメントとどこが違うのであろうか。
近年、わが国では成果主義ということが盛んに言われてきた。また、コンピテンシー・マネジメント(業績が高い人の行動特性を伸ばし、組織に取り入れる手法)やプロセスマネジメント(業務工程の分析・改善を各自の効率アップに繋げる手法)も登場しているが、いずれも行動科学マネジメントのように、誰が行っても実験再現性があり、しかも大企業から個人経営といった業種、業態、規模の大小に関係なく効果を発揮できるという特長を持ち合わせていない。
両者の大きな違いは、行動に焦点を当てているかどうかである。
日本にあるマネジメントのほぼ全てが、実は「結果」にしか焦点を当てていない。売上目標を達成したこと自体は評価しても、その過程でどういう行動をとったかは評価項目に入っていないのが一般的である。しかも、思わしい結果を出せない人をばっさり切り捨ててしまう企業も少なくない。
このような環境下では、いわゆる「二割八割の法則」が作用する。すなわち、上位ニ割の人だけが成績を上げ、残りの八割はパフォーマンスレベルを下げてしまうのだ。これこそが日本における成果主義の問題点に他ならない。
成果主義も決して悪くはないのだが、全員が同じ程度のモチベーションを持って業務に取り組む雰囲気をととのえたうえで導入しないと、このような弊害をもたらす。同時に、結果だけでなく行動をも評価することが絶対条件である。日本の企業はそれをしなかった結果、全体の八割が行動反応率を低下させる、いわゆるやる気を失うようなマネジメントをこぞって実践してしまったわけである。
私たちは成果主義を誤解し、きわめて表面的に取り入れてしまった。この大きな誤解は今なお企業の呪縛となり、八割の社員から「行動することそのもの」を奪っているのではないだろうか。




