第1回 眠っている資産
はじめに
「100年に1度の不況」と言われる現在での企業や個人の状況は、『倒産・解雇・貸し渋り・貸し剥がし』等、厳しいことばかりです。とりわけ資金調達等の資金繰りには特に御苦労されていることと思います。
こんな時期だからこそ、貴方の会社で眠っている資産を見直し活用しましょう。眠っている資産とは・・・そうです。未回収売掛金のことです。企業における売掛金の管理回収の重要性は、経営者だけではなく社員も十分認識していることだと思いますが、「なぜ先方は支払いをしないのか」「なぜ回収ができないのか」を深く追求することなく、途中で諦めてしまっている例が多いのは非常に勿体無いことです。
売掛金等が未回収になる原因は色々ですが、皆さんが口を揃えて言うのは「相手が約束を破り『金が無い』の一点張りで払わない」ということです。そこで皆さんは支払いをしない相手側に全責任があるとし、頭ごなしに支払えと請求していませんか? 私たちのような専門家が間に入り双方の話を良く聞いてみると、請求する側にも若干の責任がある場合もありますので、相手側に全ての責任を押し付けての請求では平行線で、回収は困難になります。契約当初から請求時までの間での数多くの要素が未払いの原因となっていますので、未回収の問題は、支払時期に突発的に発生したものではなく、それ以前に起きていた問題や課題が、代金等の支払い段階になって表面化したに過ぎないのです。
回収に際しての基本的な心得
管理や回収を担当する人たちの悩みを聞いてみましょう。
「相手方に連絡し請求すると、いつも約束するがその都度不履行となり、一向に支払いをしない」
「相手方と連絡が取れず、訪問しても居留守や不在が多く話ができない」
「クレーム等が原因で双方が歩み寄らず、進展がないまま放置している」
「相手先が遠方であったり、債権額が少額のため回収に時間も費用もかけられない」・・・
他にも、「相手方の所在が不明になり行方が分からなくなった」「法的手続きを法律の専門家に依頼し判決をとったが、その後の手段が分からずそのまま放置している」等、売掛金等の未回収について多くの企業や個人が困っているのが現状で、決して貴社や貴方だけではなく、恥じる必要はありません。
ただ、これらの対処法に特効薬はありません。やるべき事を小まめに行い、小まめに管理するしかないのです。
具体的には、契約前にできるだけ多くの情報を収集すること、そのうえでこちらも納品や請求書の送付等、何事にも期日・時間を厳守することが基本です。また、入金の確認等は必ず約束当日に行い、入金確認できない場合も必ず当日に相手方に連絡し、入金できなかった理由や支払期日を聞き取り、再度の確約をとるべきです。その際に、7日後~10日以上先の支払い約束は注意してください。また、約束不履行が続く場合には連絡や訪問をする担当者を替えるのも一つの方法として有効です。電話連絡だけでなく、通知書や督促書等の文書での催促も有効ですが、言葉を選んで慎重にしてください。
それでも支払いがない場合には訪問するしかないですが、その際の注意点として、ただ行くだけではなく会社の様子や社員の顔ぶれ、商品等の状況等をよく見ること。不在の場合も同様に見て、名刺や伝言を書いた物を必ず残してくることが大切です。請求する側が管理にルーズならば相手側も支払いがルーズになり、管理をキッチリすれば相手側も約束通り支払います。
最後に、未回収売掛金等を長期間放置した際の悪害について。金融機関の与信審査では必ず未収売掛金の残高と相手先を3期分チェックします。これは査定に大きく影響しますので、資金調達のために融資を申し込む前に、もう一度未回収売掛金を見直してください。思いがけない“金のなる木”があるかも知れません。
執筆者プロフィール
玉川卓生 Tamagawa Takuo
アシストワン 有限会社 代表取締役
経 歴
昭和56年、大手消費者金融入社。入社後6ヶ月で支店長となり、5支店を移動しながら新規店立上げに奔走した。昭和60年、中堅消費者金融入社。不良債権回収の責任者に就任。平成2年、事業者向金融入社。取締役専務に就任。 平成16年、有限会社アシストワンを設立。 23年間金融業に携わり取得した、回収のノウハウ及び交渉術を活かし、企業・個人をアシストすることを事業目的とする。
事業内容
・ 売掛金等管理回収サポート業務
・ 調査業務(債権の調査・所在調査)
・ 利息再計算(利息制限法)




